4月10日の経済危機対策で中小企業融資が拡大

経済危機対策で中小企業融資が拡大

 4月10日、「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議において、「経済危機対策」がとりまとめられた。その中で中小企業向け対策として、緊急保証制度の拡大、日本政策金融公庫、商工中金からのセーフティネット貸付、マル経融資も拡大された。

緊急保証枠が30兆円に

 緊急保証制度、正確には「原材料価格高騰対応等緊急保証」制度は、08年10月31日をもって開始された。信用保証協会は、銀行等が行う中小企業向け融資を保証し、中小企業からは保証料をもらうことになっている。この制度の最大のメリットは100%保証ということだ。以前は100%保証してくれていたのが、07年10月から80%だけしか保証してくれなくなった。20%は銀行がリスクを負担することになったのだが、銀行が貸し渋りをすると保証制度が利用できなくなる。
 この緊急保証制度が実施されてから、利用者が急増。08年12月は他の保証制度も含めてであるが保証額は4.06兆円、前年同月比3.2倍となった。政府は1月成立の08年度2次補正予算で緊急保証枠を6兆円から20兆円に拡大。その後1月は前年同月比2.64倍、2月は同比2.30倍と増え、3月の新規保証額はまだ公表されていないが、12月の4兆円に近い額となっているだろう。今後も資金繰りのピークが、6月、7月、9月と待ち構えている。そのため追加景気対策の一環として、緊急保証の枠が20兆円から30兆円に拡大され、据置期間が2年に延長、緊急保証の8000万円の上限額も撤廃された。
 3月10日の政府の金融円滑化対策では、緊急保証融資の債権は自己資本比率の計算上、安全性が最も高い国債と同じ扱いとされた。銀行としては保証協会付で融資しても、自己資本比率は下がらないため、銀行融資を後押しすることになる。

セーフティネット貸付枠拡大、金利引き下げ

 日本政策金融公庫、商工中金セーフティネット貸付の枠を10兆円から15.4兆円にまで拡大。無担保・無保証人融資の金利も引き下げられ、元本返済猶予など既往債務の条件変更に積極的に対応することとなった。

小規模事業者経営改善資金(マル経融資)の拡充

 製造業・建設業は従業員が20人以下、商業・サービス業5人以下が対象となる「事業者小規模事業者経営改善資金融資」の返済期間、融資限度額も拡充された。
返済期間(運転資金)5年(据置6カ月)→7年(据置1年)
    (設備資金)7年(据置6カ月)→10年(据置2年)
融資限度額     1000万円→1500万円