リーマン破綻 半年後の真実

日経記事から

 5日付の日経にリーマン破綻についての特集記事があり、ポールソンFRB議長とリーマンCEOファルドの誤算が書かれていた。

ファルドの誤算

 リーマンの破たんの原因は、レバリッジを利かせた積極経営の行き過ぎだった。リーマンは破たん直前、自己資本は資産の30分の1しかなかった。成長にこだわり、損切りを怠るという、素人の陥る罠にリーマンも陥っていたのだ。
 投資家アインホーンがリーマンの資産がかなり傷んでいると見抜き、空売りをかけてきた。当時リーマンは韓国産業銀行から50億ドルの出資交渉を受けていた。ファルドは部下から「うまく行きそうです。50億ドル手にしたら自社株買いでアインホーンを痛めつけましょう。」とのメールを受け、「賛成」と返信したという。諫言した投資家もいたが、無視された。米当局がベアスターンズ型の処理を提案したが、ファルドは断った。乗り切れると思ったのだ。
 しかし歴史は知っての通り。韓国産業銀行は出資を撤回し、株価は急落、政府からも見放され、15日にリーマンは破産を申し立てた。

ポールソンの誤算

 バークレイズが出資すればリーマンは救われた。FRB融資などの「公的支援の一押し」があれば、破産は防げたが、結局それはなく、バークレイズも手を引いた。
 ポールソンも、ニューヨーク連銀総裁ガイトナーも、リーマンの取引先はリスクの分かるファンドか金融機関が大半で、破綻しても影響は小さいと考えていた。しかし市場はパニックになった。一番の誤算はAIGが倒産寸前にまで追い込まれたことだったという。
 そしてAIGは政府に救済された。AIGは政府、FRBから受け取った公的資金の5割を金融機関に追証などで支払っているという。その額ゴールドマンサックスに129億ドル、ソシエテ・ジェネラルに119億ドル、ドイツ銀行に118億ドル、バークレイズに85億ドル、バンカメに52億ドル、UBSに50億ドル等々である。結局AIG救済は銀行救済だったのである。