09年4月3日の新聞から

欧州中銀0.25%利下げ

 欧州中銀は2日の定例理事会で政策金利を1.5%から1.25%に利下げした。日本の0.1、米の0-0.25%よりは高いが、トリシェ総裁は記者会見で、今後の追加利下を示唆するとともに、5月の理事会で「異例の措置」を議論すると表明した。伊礼の措置とは社債購入などの量的緩和を指すものと理解されている。
 英の中央銀行イングランド銀行はすでに国債社債を購入し資金供給量を増やしている。

三菱自動車電気自動車の生産能力を倍増

 三菱自動車は11年度中にリチウムイオン電池を動力源とする電気自動車アイミーブの生産能力を当初計画の二倍の2万台に引き上げる。09年度生産予定の2000台はすでに東電や日本郵政等からの受注で予約が埋まったようだ。
 政府の支援策もあり、今後も電気自動車の需要は増えてこよう。もっともリチウムイオン二次電池は、一回の充電で移動できる距離が限られているので、よほどの技術革新がないと今の自動車需要と完全に置き換わるのは難しい。すでに競争は次の次である燃料電池の世界でも始まっている。

信託銀行6兆円買い越し

 東京、名古屋、大阪の証券取引所1,2部合計で、08年度の信託銀行の買い越しが6兆1515億円となった。他方外人は4兆2214億円の売り越し。日本株を外人が売り、年金マネーが買ったという形だ。これはファンドにおける株式の比率を保ったことだけが理由なのか、それとも株価対策という政府の意向が裏にあってのことなのか気になるところだ。理由はどうあれ、結果として年金を預かるGPIFの逆張り戦法を行っているのは間違いない。この戦略吉と出るか、凶と出るのだろうかか。企業年金は株式比率を下げているところが多い。
※ 年金マネーの孤軍奮闘http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090322/1237713868

民主党献金規制

 民主党の政治改革推進本部(岡田克也本部長)が、2日、一定額以上の政府の備品や公共事業を受注している企業からの献金を禁止する方針で一致した。なお小沢代表は企業、団体献金の全面禁止を主張していた。この方針だと日教組等の労組、宗教団体からの寄付は規制外となる。

米、時価会計を緩和

 米国の会計基準を決める米財務会計基準審議会(FASB)は、時価会計を一部緩和した。同会の基準では、金融商品の中でも売買目的で保有しているものは時価評価、満期保有目的のものは、市場価格が大幅に下がったものは損失処理が必要となっている。これが次のように変更になる。
 売買保有目的の金融商品も、市場取引が活発でないものは金融機関独自の見積もり価格で評価できるとしているが、「不活発」という基準が明確でなく、使い勝手が悪かった。これを「売り注文と買い注文との価格差が大きい」「十分な頻度や量の取引がない」などと基準を明確化した。
 また満期保有目的の金融資産で、「市場価格が大幅に下がったもの」でも「満期前に売却を迫られる可能性が低いもの」は、満期時に予想される損失だけ計上し、時価評価は不要とした。
 もっとも、最近バーゼルⅡという、金融機関の自己資本比率基準が強化される動きもあり、自己資本基準強化による貸し渋りも心配される。バーゼルⅡ導入により、金融庁が検査マニュアルを改訂されたのだが、これ以上強化されたら邦銀の貸し渋りは決定的となりかねない。上記の米会計基準緩和がこうした動きをストップできないものだろうか。
 http://www.fsa.go.jp/inter/bis/20090119/01.pdf

福島銀行が誤配当

 福島銀行が、株式の評価損によって配当原資が確保出来る状況ではなかったのに、株主に1株当たり1.5円の利益配当をおこなったとして、金融庁から改善命令が出た。もしこれが故意なら、特別背任にあたるが、金融庁は故意ではなく過失と見ているようだ。SFCGが違法配当を行ったとして、対策弁護団刑事告発しているが、こうした違法配当は今後他の企業でもありそうで怖い。仮に過失でも役員に対する損害賠償請求の理由になりかねないので、役員の人たちは注意が必要だ(利益が得られた株主が代表訴訟を起こさないので問題になるケースは少ないと思うが)。

独新車販売40%増

 ドイツ政府は、09年1月末に始めた新車買替補助金の効果で、3月の新車販売台数は前年同月比40%増となった。新車販売は2月から引き続きの二桁増となった。この新車買換補助金は9年以上使用した車を最新の排ガス規制対応車に買い替える場合、ユーザーに2500ユーロを支給する仕組だ。
 ところで現在日本国内には車齢9年以上の車が約2000万台あるという。ドイツの買換補助金を真似するのもいいかもしれない。
 日本政府が4月にまとめる経済成長戦略の原案では、「エコカー世界最速普及プラン」が用意され、電気自動車やハイブリッド車への買い替え促進のため、優遇税制に加え1台数十万円の補助金を出すほか、20万台以上の公用車を次世代自動車にすることになっている。公用車の買換は、便乗じゃないかと思うが、補助金については早く実現してほしい。

パキスタン政府、支援会合で10年間で3兆円要請

 東京でのパキスタン支援国会議に先立って、ドバイで開かれた専門会議でパキスタン政府は4月2日、10年間で3兆円の経済支援を要請した。パキスタン世界金融危機の影響でデフォルトに陥る恐れがある。しかし3兆円とは図々しいにもほどがある。パキスタンには天然資源があるわけではなく、タリバンが政権をとったら融資した金も戻ってこない。

個人向け社債2兆円兆

 08年度の個人向け社債発行が2兆0140億円となり、07年度の4.6倍の伸びとなった。この中で規模が一番大きかったのが三菱東京UFJ銀行が劣後債を4500億円、野村HDが3000億円の社債を発行したのが大きく、この2社だけで4割近くを占める。三菱商事が08年12月発行した3年債の表面利率は1.16%だ。

OECDタックスヘイヴンブラックリスト、グレーリスト発表

 G20金融サミットは、タックスヘイヴンの監視強化を決定。これに伴い、4月2日、OECDは、タックスヘイヴン中、国際基準受入未発表国リスト=ブラックリストと、受入表明済みだが対応不十分の国のリスト=グレーリストを公表した。
 ブラックリストには、フィリピン、マレーシア(ラブアン島)、ウルグアイコスタリカが、グレーリストには豪州、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、シンガポールモナコリヒテンシュタイン、英領バージン諸島等38カ国が挙げられた。
 サルコジがこのリストをG20の共同声明でも触れるように主張、マカオ、香港を抱える中国の胡錦涛は反対、米国オバマが仲介し、このリストに言及するが、指示はせず、共同声明内では国名、地域名を上げないことになった。

NY株式市場大幅続伸 ドル円が100円台に

 金融サミットが財政出動などの対策強化で一致したこと(実際はすでに各国で発表済みの財政政策の金額を積み上げただけなのだが)、時価会計の緩和、米住宅ローン金利が統計開始以来最低の年4.78%となるといったニュースが好感され、ダウ平均は3営業日続伸、一時8000円台を回復した。

外国人が3営業日買い越し

 市場推計、株数ベースで、外国人が3営業日連続して買い越しになっているという。年金担当者はほっとしているのでは。