ボリビアのリチウム資源確保に 住友商事の動きが活発化

 05年における世界の金属リチウムの生産量は2万1400トン。うちチリ8000トン、オーストラリア4000トン、中国2700トン、ロシア2200トン、アルゼンチンが2000トンであるが、ボリビア南部の「ウユニ塩湖」には、世界の埋蔵量の約半分にあたる約540万トンのリチウムが埋蔵されている。ボリビア政府は同湖で、リチウム回収実験プラントの建設を計画。世界に資本・技術協力を呼びかけている。
 住友商事は、希少金属リチウムを海水から効率的に回収する技術を持つ北九州市立大学国際環境工学部の吉塚和治教授と共同で開発し、ボリビア政府に受注を働きかけている。
 しかし、ボリビアのモラレス大統領は06年5月1日、自国の天然ガス、石油を国有化する大統領最高指令を発した。モラレス大統領は聴衆を前に演説。メーデーの労働者への贈り物として、思いついた語った。こうした政権であるから、権益もどの程度のものとなるか。採算ラインに乗るかどうかは不明だし、実用プラントが操業された途端、おれの国によこせと言われてしまうかもしれない。
 もっともその前に、南米を自国の裏庭と考える米国が何らかの行動を起こすかもしれない。

三井物産リチウムをカナダから調達

 三井物産は、カナダ企業のカナダリチウムコープが同国ケベック州に持つ鉱山で生産するリチウムの独占的営業権を取得した。同鉱山は開発中で、輸送道路等のインフラは整備済み、13年からの販売を目指している。少なくとも世界需要の約6年分の埋蔵量が確認されている。(日経09.7.8)