株評価損 損金処理を容易化

損金とは

 これは税金の話である。法人税は「益金−損金」で「所得」を基準に計算される。実際会社から出ていくお金でも損金に算入されるものとされないものがある。例えば個人事業者の場合交際費は全額損金に算入されるが、大企業では全額損金に算入されない。だから大企業の場合、交際費として支出された部分にも課税されてしまう。

株評価損が損金算入されるには

 株式や債券などの有価証券が、取得価格(簿価)から50%以上下落した場合、評価損の文を損金に算入することが可能だが、実際には利用されていない。というのも、損金に参入するには「近い将来、価格の回復が見込めない」など、要件が不明確だからだ。期末時点である株が50%下がっていたからと損金に算入した後に価格が上昇すると、税務当局から「不適切な税務処理」と指摘されかねない。損金処理をすれば、法人税が安くなるが、後が怖いため損金処理が進んでいないのだ。

株評価損損金算入促進へ

 政府与党は、景気回復対策の一環として、株評価損が安心して損金処理できるような通達を出す方針とのことだ。日本企業の場合3月末に決算を迎える企業が多く、3月末時点で株評価損が発生していれば、それを損金処理することで、国に納める法人税を安くすることができる。

法人税減税と同じ効果

 この通達が実現し、株評価損の損金算入が進むと、法人税収が落ちることだろう。税収不足分を埋める源資をどこからか持ってくるのだろうか。個人からの税金だろうか。