予算が麻生政権の生命維持装置になっている

三段ロケットはいつの間にか四段ロケットに

 2月27日、09年度予算案が衆院本会議で可決、30日後に自然成立する。本来はこれで解散へと流れが切り替わってよさそうだが、麻生首相は、急速な経済情勢の悪化に対応するため、追加の経済対策として、09年度補正予算案を策定中だ。麻生首相は第1次補正、第2次補正、09年度本予算の3段ロケットで景気を回復すると言っていたが、4段ロケットになってしまったわけだ。
 誰だかが「予算が政権の生命維持装置になっている」と言ったが、まさに名言。ただ3月1日のサンデープロジェクトで、古賀選対委員長が09年度本予算が可決されたら、首相に解散総選挙を進言すると断言。いよいよ麻生政権の余命も見えてきたが、09年追加予算のための延命も不要だ。
 なお小沢の盟友、平野貞夫麻生内閣が倒れそうで倒れない理由を「自民党に送り人がいないから」と言った。これも座布団1枚である。

小田原攻め

 麻生首相が予算を細切れで追加し、政権を延命する様子は、秀吉の小田原攻めにおける、北条氏政を思い出す。北条氏政小田原城内に領民を入れ、秀吉を待ち受けた。氏政にすれば、領民を守るために、籠城するのだとの大義名分があったのだろう。しかし氏政は、最終的には彼我の力の差を悟り、領民を守るために腹を切った。
 やはり秀吉により水攻めにあった高松城では、城主清水宗治と城兵と領民の合わせて5千人が籠城していたが、清水宗治切腹によって領民らも解放された。
 麻生さんは清水宗治北条氏政を見習って、自らの首を差し出すことで自民党、国民を政治的混乱から解放するのが首相としての矜持なのではなかろうか。

09年補正予算について

 財政出動はいい。しかし、09年予算には予算の大盤振る舞いだけあって、予算の無駄の見直しはあまりに不十分だったのではないか。
 オバマは施政方針演説の前日2月23日に、ホワイトハウス超党派の財政規律サミットを開き、最初の任期を終えるまでに財政赤字を半減させることを約束した。すでに今後10年間にわたり2兆ドル(約192兆円)の節約項目を見いだしたという。
 米国の予算のことなのでよく分からないが、機能しない教育プログラムや、支援を必要としない大規模農業ビジネスへの直接支出、イラクでの随意契約を排除、冷戦時代の武器システムに対する出費を削除、高齢者医療保険制度での浪費、詐欺、悪用の根絶。雇用を海外に移している企業への減税の取りやめ、米国の2%を占める最富裕層への減税の打ち切りがその内容だという。
 内容の良否は判断しかねるが、官僚の老後の生活を保証するためだけに存在する財団法人、無駄なダムの建設の凍結等、予算の重点配分を前提とした歳出改革もできたはずだ。補正予算ばかり組み立てて、そういったことをやらないのは片手落ちではないか。