SFCG 債権者説明会に行ってきました

ご注意

 この記事は、民事再生申立を伝えるため、SFCGが09年2月24日に開催した債権者集会についてのものです。破産手続としての第1回債権者集会は10月28日(水)午後1時30分から日比谷公会堂で開催されます。(09.10.27)

SFCG債権者説明会開かる

 SFCGの債権者説明会が、営団地下鉄東西線東陽町駅から徒歩10分にあるホテルで開かれた。会場のホテル前には取材のカメラが並んでいる。記者の一人の質問に答えたら、あっという間に十数人の記者やカメラマンに囲まれ、数分ほどインタビューに答える。そのとき右手には日刊ゲンダイが握りしめられていた。う〜ん、もっとインテリフェントな新聞を握っていればよかったな。でも当日の日刊ゲンダイには、SFCGの会長大島健伸(最近まで社長だったが突然会長に退いた)が住む渋谷区松濤の豪邸が、08年11月、親族企業からの100億円の借金の抵当に入ったことが書かれていたのだ。渋谷区松濤といったら、都知事公邸も同町内にある、東京随一の御屋敷町だ。

会場の雰囲気

 広々とした宴会場が会場だ。参加者は百数十人か。意外に少ない。正面にテーブル席が設けられ、テーブル席には右から順に、SFCG代理人弁護士数名、大島会長、小笠原社長、菊池渡副会長、少し離れて監督委員の瀬戸英男弁護士、高野角司公認会計士、瀬戸弁護士が経営するLM法律事務所の若手弁護士数人が並ぶ。
 SFCGの依頼で申立代理人を務める阿部慎一郎弁護士は、日本有数の大手事務所の東京青山・青木・狛法律事務所のパートナー弁護士。裁判所から選任された監督委員の瀬戸英男弁護士は、耐震強度偽装事件のヒューザー破産管財人、マイカル、大和生命保険、第一ホテル、ヤオハンジャパンの会社更生監督委員、ゼファーの民事再生監督委員を歴任する、倒産関係では著名な存在である。高野角司公認会計士も、また倒産、M&A関係では著名な存在。
 要はオールスターが揃った訳である。

注目は大島健伸が頭を下げるか否か

 SFCGの創業者であり、天皇的存在である大島健伸元社長兼元会長。彼こそがSFCG、ひいては日本の商工ローンの全てを作り上げたと言ってもいい人物だ。
 SFCGのHPのトップには、大島会長の創業の過程を感動あふれるストーリーに仕立てた「漫画大島健伸物語〜天馬空を行く」が、載っている。壮大なる自己満の世界をぜひ一度のぞいてみてほしい。創業から現在までの一通りを書いたが、まだ足りないらしく、第17話は大島会長の父親の半生が、第18話以降は大島会長の成長の過程が書かれている。最新の第22話は「NYの青春」と、NY留学時代の若き大島会長がでてくるところ、まさに「YOUNG島耕作」ばりだ。
 僕はこの大島健伸会長が頭を下げるかどうか、そこに大きな興味があった。しかしこの人は、やはり期待を裏切らない。説明会の冒頭、役員が謝罪する場面。大島会長が、SFCG役員二人に遅れて起立、、、したと思ったが、中腰まで立っただけで、ちょこんと頭を下げただけで、他の役員二人が45度下げているのを尻目に1人先に座ってしまった。やっぱり謝る気持ちなんてないんだろうな。「大島健伸という偉大なる経営者が道半ばにして将来を断たれるのだ。」などという、勘違いな悲壮感と、挫折感がにじみ出ている。彼が復活したら、「天馬空行」の続編が、この債権者集会の場面から始められるだろう。そのようなことはありえないが、ふと想像してしまった。

質問は一人一問

 開会して、まずは申立代理人の阿部弁護士が、破綻に至った事情、今後の方針を述べ、次いで質疑応答が始まった。しかし、議事進行役の司会者いわく1人1問に限ると釘を刺す。これは明らかに過払い債権者代理人対策だ。
 2人目の質問者以降、日栄商工ファンド対策全国弁護団の弁護士が立て続けに質問に立つ。彼らの狙いは一点。大島会長の責任追及だ。資産の過大評価がないか、貸倒処理が適切かだ。もしSFCGが資産を過大に評価し、債務を過少に評価している事実があれば、粉飾決算となり、36億円の株主配当をしたことが違法配当となり、大島会長の個人的責任が問われるからだ。いくら大島会長が資産を貯め込んだとしても36億円の配当が違法となれば、その分を個人的資産から供出しなければならない。また、過大な役員報酬、資産の不当処分、そういったことも大島会長の個人的責任に直結する。
 対策全国弁護団として、歯がゆかったのは、非常貸借対照表どころか、直近のBS(バランスシート=貸借対照表)の配布さえなかったことだろう。SFCGのHPのIR情報では08年10月末まで4半期報告書しか出ていない。直近分のBS、資産内訳表表等があれば、直前期のものと比べて、特に劣化した費目にしぼって資産の過大評価、負債の過小評価の有無、資産の不当な流出がないか糸口をつかめるからである。
 対策前後前後弁護団のもう一つのもう一つの狙いは管財人の選任だ。裁判所は、債務者の財産の管理または処分が失当であるときは、再生手続開始決定時、またはそれ以降も、再生債務者の業務及び財産に関し、管財人による管理を命ずることができる、とされている。
 SFCGの資産状況からして、配当はほとんど見込めない。対策全国弁護団は、配当を得ることより、大島会長の個人財産を吐き出させることに主力を移している。

今後もSFCGの強引な取立は続くのか

 SFCGは運転資金を得るため、顧客6万人中4万人に対し、貸し剥がしを行った。このことについてどう考えるのかとの質問があった。大島会長は1日でも支払が遅れた債務者に対しては一括請求できると説明したが、無理がある。SFCGは顧客をつなぎ止めるために、顧客の支払が遅れても、一括請求するよりは、むしろ顧客に運転資金がないかを尋ね、さらなる融資を受けるよう勧めてくる。当然期限の猶予をその時点で与えていることになるはずだが、何年、何カ月も前の一度の遅れに対して、手のひらを返すように一括請求をしても認められる訳がない。
 申立人代理人いわく、今後はコンプライアンスは適切に行う、利息制限法を超える請求はしない、スポンサーにもその点を理解してもらうようにする、とのことだが、SFCGのDNAがそう簡単に消えてなくなることはないと思うのだが。

過払い金については計算中

 過払い金については現在SFCGの方で計算中とのことだ。完済分についても過去10年以内に完済したものなら計算するとのことだ。もっともほとんど配当ゼロとなるだろうから、余り意味のない議論かもしれない。

大島会長、反省を求められても自慢話披露

 ある債権者、おそらく弁護士とか司法書士とかではなく、個人の方と思うが質問があった。「過払い金があるのに、督促を受け、支払い義務あるものと誤解したまま、首を吊った人がいる。こういう人がいることについてどう思うのか。」
 大島会長はやはり反省のひとかけらもない。むしろ、血も涙もないというべきか。大島会長、まずは「私は大学卒業後、三井物産に就職しまして、海外とも取引するわけですが、信用状一つで取引できる。こうした契約を守るということの大切さ、これは貸金業にも通じる、、」などという話から始まり、「私がSFCGを開業する前は、サラ金しかいなかった。事業者が借入を起こそうとして銀行が貸してくれないと高利業者から借りざるを得なかった。」などと、自慢話が続く。10分も続いたかというとき、堪忍袋の緒が切れて、「あなたの自慢話を聞きに来たんじゃないんですよ。簡潔に言ってもらわないと貴重な質疑応答の時間が失われるんです。」と声を上げた。大島会長は「自慢なんかしていないですよ。」とこちらを向いて話す。ただバツが悪かったのか、自分は法律の範囲内でやってきたことを、簡単に行って長話を終えた。
 「今いってることは、天馬空を行くを読んでもう知っているよ」と言えばもっと受けたのにと、反省しきり。

債権者説明会をもう一度やれ

 今回の債権者説明会には大きな不満がある。まず前日に案内があったことだ。余りに急で参加したくてもできなかった人が多かったはずだ。これは弁護団も言っていたことだが、非常貸借対照表の提示がなかったことだ。この非常貸借対照表とは、今会社を清算したら、どれだけの値段で売れるか、債務が現在どれだけあるかをBSの形で作成したものだ。この場合、繰延資産等の会計上資産として計上されているに過ぎず、実態のないものはBSには載らない。売れるものだけを引き取るのである。そうすると、今までの決算報告と比較対照し、どこに過大評価があったか、過小評価があったかが分かる。まずこれを作って、もう一度説明会を開くべきだ。
※ SFCG(旧商工ファンド)破綻 ついに悪運尽きる↓
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090223/1235367537
※ SFCG一般債権者への配当は望み薄
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090223/1235403822
※ 佐藤隆文金融庁長官・商工ローンヨイショ発言の不明
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090223/1235404971
※ 与謝野財務相はまっとうな発言、経産省発表の相談窓口の実際
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090225/1235583648
※ SFCG破綻がもたらす日本振興銀行への影響↓
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090228/1235796661
※ SFCG子会社T・ZONEホールディングス↓
  保有株は日本振興銀行の手に
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090228/1235804959