SFCG(旧商工ファンド)破綻 ついに悪運尽きる

SFCGついに悪運尽く

 SFCGは09年2月23日、民事再生手続き開始の申し立てを東京地裁に行った。負債総額は3380億4000万円。
 リーマンブラザーズから借入をしていたところ、リーマンの破たんで何百億円も一括返済を迫られ、以後急速に資金繰りが悪化。そのため、現在正常返済している融資先にも難癖をつけ、一括返済を迫るという、無茶苦茶な方法で資金不足の解消を図ったが、当然うまくは行かず、破綻となった。

中小企業の味方を騙っていた商工ファンド

 SFCGは旧商工ファンド。事業者ローン=商工ローンである。そして同社の貸付の特徴は、担保をとりその担保の範囲内で貸付枠を設定。貸付枠内であればじゃぶじゃぶ金を貸す。会社が倒産すれば、保証人から苛酷な取り立てを行った。
 普通、銀行とかが金を貸すときは、貸付先の会社の経営状況、財務状況を見て融資するか否かを判断する。この会社はそんなところは見ない。見るのは担保がしっかりしているかだけだ。SFCGも自分のことろに借りに来るぐらいだから、もう行き詰っているのだろうくらいに考えている。しかし担保さえしっかりしていれば回収はできる。すなわちSFCGは、貸付先の信用は無視し、保証人の返済能力だけを見て貸すのである。
 SFCGの売りは、企業の需要に応じて機動的に融資する、ということだが、言いかえれば担保さえあれば、返済能力は無視して貸しますよ、ということなのだ。だから一番悲惨なのは保証人になった人間だ。中には保証人になって数か月で、ときには翌月に借りた本人が夜逃げしたなんてこともなくはない。そうして苛烈な取り立てにあうのは保証人なのである。

利息制限法無視の取立

 私がかつて依頼を受けた人は、公立中学の先生をやっている母が保証人としてついていた。計算すると過払いなのだが、SFCGは母親の給与を差し押さえた。結局過払い金は回収でき、差押も止まったが、母親の職場内での居心地の悪さは解消されない。
 またある会社の社長が、SFCGから返済で借入れ後、2年半たったところで、弁護士をつけてSFCGと争った。利息制限法で計算し直したところ請求額の半分ほどになったので、それを完済した。しかしその半年後、SFCGはその保証人のところに請求してきたのである。当然「ふざけるな」で一銭も払っていない。

過払い金は返らない

 08年の10月ころだろうか、過払い金を請求したところ7割なら払うと言ってきた。当時もSFCGは破たんが懸念されていた時期だった。お客とも相談して7割でもいいから返してもらおうということになった。しかし、その後さらに資金繰りが悪化したのか、返してもらえなくなってしまった。
 SFCGに訴訟を起こし、2月19日に和解金が入ってくる事案があったのだが、入ってこない。20日に相手方弁護士にファックスでその旨伝えたが、結局返事はない。別件でSFCG相手の訴訟を提起し、その第2回口頭弁論期日が2月19日にあったのだが、相手方の都合で延期。悪い予感がして株価を調べたが、その時点では上場廃止にはなっていなかった。
 そして今日のニュースだ。

今後のSFCG

 今後についてSFCGは、東京地裁の監督委員の監督の下でスポンサー選定を行い、決定次第、支援を得て事業再建を図るとしている。
スポンサーがいなければ破産するしかない。
 破産となった場合、このご時世、SFCGの社員は債権回収のプロとして転職先で活躍するかもしれない。
 BSを見る限り、配当率は期待できない。
※ SFCG債権者説明会に行ってきました↓
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090224/1235498861
※ 佐藤隆文金融庁長官 商工ローンヨイショ発言の不明↓
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090223/1235404971
※ 与謝野財務相はまっとうな発言、経産省発表の相談窓口の実際
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090225/1235583648
※ SFCG一般債権者への配当は望み薄
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090223/1235403822
※ SFCG破綻がもたらす日本振興銀行への影響↓
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090228/1235796661
※ SFCG子会社T・ZONEホールディングス↓
  保有株は日本振興銀行の手に
  http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090228/1235804959