公的資金活用 地銀足踏み

公的資金注入・地銀進まず

 金融機能強化法は、銀行の自己資本を増強し、貸し渋りを防ぐため、金融機関への公的資金注入を定めている。しかし優先株を国が引き受ける形でなされるため、金融機関が定款変更したうえで、金融機関側からの申し出が必要だ。

まだ申請は3行のみ

 しかしこれまで申請したのは札幌北洋ホールディングら3行のみ。しかしその後公的資金注入を求める銀行が現れない。北洋が資本注入を申請したのは、北洋の財務状況が悪化したからではない。むしろ北洋は銀行の中でも自己資本比率はトップクラスだ。ただ北洋は第二地方銀行協会の理事長の出身行でもあることから、財務相から求められて渋々公的資金を申請したのである。

申請が少ない理由その1

 では、他の地方銀行は財務状況がしっかりしているのかというと、そうではなない。保有株の下落により財務状況は厳しさを増している。しかし、有価証券の評価損を自己資本比率に参入しなくていい(どうせ国内BIS基準なので)としたため、公的資金注入に頼らなくても一時しのぎできることになってしまった。

申請が少ない理由その2

 日本経済新聞の22日付記事によると、ある地銀関係者は「優先株の形で注入される公的資金は一株当たりの価格の希薄化を招きかねず、活用には既存株主を説得できる合理的な根拠がいる」と導入できない理由を話しているという。
 しかしこれは建前だ。本当のところは現役員が株主から責任を追及されるのを恐れているからだ。ことに優先株の発行ということになれば、株主総会の開催が必要だし、定款変更であり特別多数決議が必要。株主の理解を得るために、自分のクビを差し出しかねなくなるかもしれない。だからやりたくないのだ。