一本化詐欺 合同捜査班犯人グループ4人逮捕 警察は本気

一本化詐欺グループ逮捕

 時事通信の09年2月22日付報道によれば、融資を装い、身分確認目的と称して消費者金融から金を借りさせてだまし取ったとして、詐欺グループ4人が逮捕された。彼らは07年11月ごろから東北地方を中心に活動。約100件計5000万円を詐取したとみられている。
 逮捕罪名は明らかでないが、最終的には組織的詐欺罪での立件になるのではないか。組織的犯罪処罰法は、組織を作って詐欺行為を行った場合は、通常の詐欺罪より重く処罰している。通常の詐欺罪の法定刑は最低1ヶ月最高10年、組織的詐欺罪の法定刑は最低1年最高20年。

合同捜査班

 埼玉、岩手、秋田各県警の合同捜査班による逮捕だ。埼玉の犯人グループがいて、岩手、秋田に被害者がいて、合同捜査班が結成されたのだろう。しかし、県内での合同捜査はともかく、県をまたいでの合同捜査は珍しい。しかもこういった詐欺事件での合同捜査班というのはますます異例だ。警察庁がよほど本気を出しているということだろう。実のところこういった犯罪で被害者が地元の警察に訴え出ても、犯人が首都圏にいるからということで動いてくれず、犯人グループのいる首都圏の警察に訴え出ても「いざ捜査が進むと、週1回は地方から出てきて事情聴取しなければならない。1回、2回ではすまない」などと言って、こっちも積極的に動いてくれない。こういった合同捜査が行われたというのは実に効果的なことだ。
 「必ず捕まえます。警視庁は本気です」。振り込め詐欺撲滅月間を実施中の警視庁は17日、ホームページで、詐欺グループに対し、振り込め詐欺をやめるよう警告する動画の配信を始めた。他の県警も本気だということだ。

イオンクレジットを似せてだます。

 犯人らは「イオン・ファンド・キャッシング」を名乗り、イオングループのロゴに似せたマークを使用したダイレクトメールを北海道や東北の人間に送っていたという。そうして、融資を申し込んできた人に対し大手消費者金融会社を指定、「身分確認の代理窓口」と説明して金を借りさせ、郵便小包で私設私書箱あてに送らせていた。
 私が相談を受けた事案でも、住友サポートとか、OMCカード、ジャパネットキャッシング事業部など、大手企業の名前を堂々とかたったDMが使われている。ひどいのになるとプロミスのTVCM画像を取り込んだDMを使い、フリーダイアルのところだけ自分たちの番号を使っている。
 これだけの手際よさからして、組織的暴力団の関与も疑われる。五稜会事件のような発展が期待される。

郵便小包利用

 郵便小包利用現金詐欺とも報道されているが、最近こういった融資詐欺(一本化詐欺)、振り込め詐欺で、郵便小包エクスパック)を利用させるパターンが多い。バイク便を使ってのケースもある。このパターンが増えているのは、最近警察が被害者、加害者のATM利用に目を光らせているからだ。神奈川県警は、バイク便で金を取りに来たところを捕まえるなどして検挙している。
 相手は社会のダニ。裁判所もおとり捜査云々の議論に踏み込まず、こうした果断な捜査を応援してほしい。