個人宅配業者の嘆き

個人宅配業者の嘆き

 先日大分県の宅配業者の方から借金の相談があった。彼いわく、08年前半は前年比からしても売上が上がって喜んでいたが、後半になってがたっと売上が下がったという。引越しする人がいない。同一社内での宅配便が、節約のため社内便に切り替わり、3月の引越シーズンまでの資金繰りに頭を悩ませているという。
 大分県といえば、キャノン大分工場が派遣切りして有名になったところだ。キャノンだけでなく、大分県は優遇措置をとって企業誘致を進めてきた。誘致された企業は殆どが輸出産業。今回の世界的不況、円高の一番の影響を受ける。
(ところで、住民も大変だが、自治体財政も歳入が激減するはずだ。自治体は国と違って赤字公債を発行できないから、歳出を減らすしかない。)

軽油・ガソリンの価格格差問題

 以上は消費停滞からする売り上げ減だが、運送業者を苦しめるもう一つの問題がある。軽油とガソリンの価格格差がほとんどなくなっていることだ。
 石油情報センターによる最新の09年1月26日調べではレギュラーが107.4円、軽油が102.2円で価格差が5.2円しかない。さらに価格比較サイトで最安値のスタンドであるセルフ水元公園では、レギュラーが102円、軽油が100円で、たった2円しか違わないのだ。
 かつてはこうではなかった。20円近く違った。しかも、軽油引取税は、1リットル32.1円。ガソリン税は1リットル48.6円。これらの税抜価格でいうと、全国平均値で軽油は70.1円、ガソリンは58.8円。軽油のほうがガソリンより11.3円も高いという、価格の逆転が起きている。

これはなぜなのか

 価格差がここまで縮まってしまったのは、市場経済の宿命だ。ガソリンを利用するのは一般ユーザ。ガソリンが高くなれば、買い控えが起こる。そのためどうしても価格を下げなければならない。しかし軽油は事業者がほとんど。事業者は軽油価格が高くても買わざるを得ない。軽油を下げて売ろうというインセンティブが働かないのである。結果ガソリン価格は下がるが、軽油価格は下げ圧力が少ない分価格が高止まりする。価格差が全国平均では5.2円あるのに、最安値スタンドでは2円しかないというのもここに理由がある。