中国GDP成長率8%を切る 08年10〜12月前年同月比6.8%

8%守れず

 中国国家統計局が09年1月22日発表した08年10〜12月のGDP実質成長率は前年同期比6.8%。7〜9月の9.0%からさらに減速した。足を引っ張ったのは輸出の低調。輸出金額は10月こそ前年同月比19.2%増だったが、11月は同2.2%減、12月も同2.8%減と、悪化する一方だ。工業生産(年間営業収入500万元以上の企業)の前年同月比の伸びは,11月には5.4%増、12月も5.7%増にとどまった。
 09年1月22日12時07分:読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090122-OYT1T00459.htm?from=navr 
 中国政府当局は年成長率8%維持を大目標としており、「保八」との言葉さえある。というのも8%以下になると、失業者が激増し、社会不安が拡大、中国共産党の存続にかかわるからだ。

もう輸出頼りは許されない

 中国元の為替レートは、通貨バスケットを参考にして、人民銀行の外貨管理局が決めている。だから当局が元安に誘導しようと思えばそれも可能だが、時期が時期だ。どこも輸出が伸び悩み、苦労しているのに、中国当局が元安へ誘導すれば、相当な反発が予想される。08年11月の金融サミットの舞台裏でも、出席各国の中国への警戒が大きかったという。WTO事務局長も務めたマイクムーア元ニュージーランド首相は「中国は消費国になるべきだと各国が考えているのは明らかだった」と語っている(08.12.24Newsweek)。
 また、外国からの投資も逃げかねない。富士通総研主席研究員の柯隆氏は次のように言う。 2005年7月以降、人民元の対ドル相場は累計で20%ぐらい切り上がった。不動産も07年まで上がり続いていた。今年の下期に入って、金融危機が全世界に広がったなかで、中国経済は依然9%の成長を続けている。それを背景に、ホットマネーが中国に止まり、今のところキャピタル・フライト(資産逃避)が起きていないことがある。しかし、仮にこのタイミングで人民元を切り下げ、市場において元安期待が強くなれば、間違いなく大規模のキャピタル・フライトが起きる。
 富士通総研レポート/安易な元安誘導はキャピタル・フライトを誘発する(08.12.19)
 http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/china-research/topics/2008/no-98.html

頼みは内需だが

 頼みは内需というほかない。中国は家計支出の対GDP比は低下する一方で、現在は35%ほどと、きわめて脆弱だ。中国国家統計局によれば、内需では、企業の不動産投資、建設投資などの固定資産投資が08年に25.5%増、消費動向を示す小売総額が08年に21.6%増とあるが、中国国内の数字はいかようにも操作できるので、これをそのまま信じることができない。まず建設投資状況だが、眉唾だ。コマツ日立建機は建設機械にGPSを搭載しているため、中国にある同社製品がどの程度稼働しているかをオンタイムで把握できる。これによると1割が稼働していないという。中国でこれだけ輸出が減り、倒産が相次いでいる状況なのに、小売総額にこれほどの増加があるとは到底思えない。
※1月6日付ブログ「中国政府は保八に躍起 年8%成長がなければ中国はメルトダウン」をご参照ください。
 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090106/1231244720