過払い金 最高裁判決 ブランク1226日でも時効認めず

判例 山が動いた

 東京都内の男性が東日本信販に対して起こした過払い金請求訴訟で、1月22日、最高裁第一小法廷は画期的な判決を出した。これまでの裁判では、払い終わって10年たったものは時効、として過払い金の一部しか払ってもらえないことが多かった。しかし、今回の判決では、時効が成立する範囲がかなり狭められたように思う。

ブランク1226日でも時効認めず

 この男性、昭和57年8月10日から平成17年3月2日までの23年間、東日本信販との間で何度も借り入れと返済を繰り返していた。この23年間で、借入をしていないブランク期間が4回もあった。しかも、ブランク期間が1226日、232日、758日、156日と、かなり長い。ブランク期間が長いと、ブランク前に発生した過払い金は10年たてば時効と判断されることが多かった。
 1226日、758日というとかなり長い部類に属する。1年以上ブランクがあれば、その前の過払い金は10年で時効とする裁判所もあった。なんで1年なのか分からないのだが、いくつかの裁判所ではそれが相場とされていた。

今回の最高裁判決

 今回の最高裁判決によれば、借入限度額枠の中でお金の貸し借りが自由にでき、毎月定額の返済だけすればいいとするリボ払い契約の場合、途中ブランクがあっても、その全期間(この場合は約23年間)時効が進行しないことになる(この判決が引用する平成19年6月7日判決がまさにそうした判決であった)。
 今回の最高裁判決を単純に推し進めていけば、キャッシュカード、クレジットカードを返さない限り、カード契約を継続する限り、時効は進まないということになる可能性も十分ある。今回の判決の意味、適用範囲については、様々な議論があるだろう。また議論が展開すれば、このブログで明らかにしたい。
 ところで、最高裁は15人の裁判官が5人ずつの小法廷に分かれており、今回の判決はその一つ第一小法廷の出した判決である。第二小法廷判決が3月6日に、第三小法廷判決が3月9日に出る。同じ結論になるのか、まだ分からない。

昨日の裁判

 昨日東京地裁で、アコム、プロミスを相手にする裁判で、両社は過去10年間で発生した以外の過払い金は時効だから払わないと主張した。相手方の主張によれば過払い金は、アコムが232万円、プロミスが245万円。当方の主張によればアコムが555万円、プロミスが370万円となる。結局、昨日の段階で「明日最高裁の判決が出るから、それを見てからにしましょう。」と仕切り直しになったのだが、次の法廷が楽しみだ。
 ちなみに、過払い金を請求したい方。右のリンク欄にある法律事務所ホームワンにどうぞ。