中国4兆元(53兆円)内需刺激策  裏の裏

中国4兆元内需刺激策

 中国政府が4兆元の内需拡大策を公表して以来、その具体的内容がいったいどのようなものなのかが議論になっている。これはG20の直前に、胡錦涛がぶちあげたもの。今世界の市場が冷え切っているのに、中国が景気回復のため輸出拡大策に出たら大変だという世界の共通認識があったため、その不安というか警戒を払しょくするためのものだ。だからこの4兆元というのが考えた末の数字ではなく、めくらましの数字なのではないかとも思われるからだ。
 中身はすばらしい。1)国民の住宅問題の解決、2)農村のインフラ施設の向上、3)鉄道や道路、空港などの社会インフラ建設、4)医療・文化事業の発展、5)生態環境の向上、6)産業技術の刷新と構造調整、7)地震被災地の再建、8)都市住民の収入増大、9)付加価値税改革、10)商業銀行の融資制限の緩和という十大施策がその内容である。
 しかし10施策の予算配分が分からないし、国家予算自体4兆元しかないのに、財源をどうするかという問題があったからだ。中国政府からすれば、数字はいくらでも作ろうと思えば作れるのかもしれないが、これだけ大きいとどうやって帳尻合わせするのかが当然気になるところだ(この強引な数字作りが引き起こした一番の悲劇が毛沢東の行った「大躍進」だ)。

ふるまいよしこ氏の記事

 ふるまいよしこさんの記事『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』「4兆元のウラのウラ」を紹介したい。その内容は、概要次の通り。
1)中国では中央が1の予算を言うと、地方は3の予算を求められるという。とすると3兆元は地方がひねり出すことになる。
2)地方政府は帳尻合わせのために土木、箱物作りを一生懸命やるにちがいない。
3)そうするとまたオカラ建築(四川大地震で問題になった、手抜き工事でバタバタ倒壊した学校の校舎のようなスカスカな建築のこと)ができあがるのではないか。
4)今年上半期に中国全土で中小企業6万7000社(うち3割は広東省)が倒産したと報じたシンガポール紙「聨合早報」を引用し、中国経済の深刻さを紹介している。
  http://www.cnposts.com/cp/D.PHP?P=CPCT987300000304ENTRY.shtml