振り込め詐欺の手口 被害者の大半が60歳以上の女性

被害者の7割が50歳以上の女性

振り込め詐欺被害に遭った人たちは、ほとんどの人が「振り込め詐欺」については知っていたし、「まさか自分が」と思っていたという。手品のタネがばれるようでは手品師とは言えないのと同様、詐欺がばれるようでは詐欺師とは言えない。彼らは毎日振り込め詐欺の電話をかけているプロの詐欺師だということを理解する必要がある。
そして警視庁の調査によれば、08年1月から9月までで300万円以上の被害を受けた人大半が60歳以上の女性だった(東京新聞08.12.22朝刊)。女性の場合、子どものため夫に内緒で送金してしまう傾向があるし、こういっては失礼かもしれないが、高齢者の方がだまし易いということがあるのだろう。
振り込め詐欺というとオレオレ詐欺がすぐに頭に浮かぶと思うが、ほかにも架空請求詐欺、融資保証詐欺、還付金詐欺があり、最近は還付金詐欺オレオレ詐欺を追い越す勢いで増えている。

オレオレ詐欺

振り込め詐欺の中で一番よく知られているのがオレオレ詐欺だろう。息子のふりをして、電話をしてきて、事件や事故を起こしたと嘘を言って、示談金などの名目で現金をだまし取る。過去には「オレオレ」と言って息子を装うためこの名前がついたが、最近はあらかじめリサーチをして息子の名前を把握したうえで電話をかけてくる場合もあるから油断できない。「風邪をひいて声が変だと思うけど・・」などと前置きするのが一般的であったが、最近はこんなパターンもある。電話をかけてきて、泣いてばかりいるので、母親が娘の名前を呼ぶ。それでも泣いていて話にならない。母が「どうした何があったの」と聞いても返事がない。「事故でも起こしたの」と聞くと、ようやく虫の鳴くような声で「そうなの」と答える。そしてあとはお決まりのパターンだ。

架空請求詐欺

 たとえば、突然「財団法人通信料金回収機構」なるところから、督促の手紙が来る。いわく「当法人は平成17年4月に公布された通信料金の回収に関する法律によって、設立された総務省所管の財団法人です。」「貴殿は、電子通信料金4万7924円を滞納したままになっています。平成●年●月●日までに同滞納金を下記振込先にお振り込みいただくようお願いします。同期日までに入金なきときは、当法人は同料金を回収すべく、所定の手続きに従って給与等の差押手続に入らざるを得ません。」などといったものだ。
 中には東京地裁民事第●部と名乗って、破産者宛に通知を送ってよこし、「貴殿はすでに免責許可決定を受けておられますが、本来納付いただくべき予納金はいまだにお支払いいただいておりません。・・・●日までにご入金無きときは、免責許可決定が失効いたしますので、、」などというものもあった。

融資保証詐欺

 融資をする気もないのに、低利で融資をするかのようなDMを送ってよこし、保証金などの名目で現金をだまし取る手法だ。たとえばこんな具合だ。スポーツ新聞に載っている「即日500万円迄 電話一本でスピード融資」といったような宣伝を見てそこに電話する。すると担当者から、住所、電話、勤務先の名前と電話等の個人情報、そして今ある借金の内容を聞かれる。いったん電話が終わり、数分後に担当者から折り返しの電話がある。「上司に決済を仰いだのですが、お客様の信用状態が悪いので、このままではご融資できません。」といい、「当社の保証会社のほうに●万円お払い下さい」と言ってお金をエクスパック郵便小包)で送らせたり、あるいは「クレジットの利用があれば信用上プラスになるから、クレジットでS社のデジカメを4台買ってください。当社に送ってくれれば、買った値段で引き取ります。」と言ってデジカメを送らせる。もちろん融資などはしない。「もう少ししたら決裁が下りるから」と引き延ばした揚句にドロンだ。
最近は、少し手法が変わってきた。電話して、個人情報、負債内容を伝え、電話を終わると、今度は相手から電話がかかってくるのは同じなのだが、「あいにく、うちでは融資はできません。」で終わってしまうのだ。しばらくすると様々なヤミ金から勧誘の電話がかかってくる。こういったケースが最近目立ってきた。個人情報をヤミ金に流す目的でこういった広告を出している疑いがある。

還付金詐欺

 還付金詐欺が今一番のトレンドだ。還付金を受け取れるからと言ってATMに誘い出し、給付金受取手続と見せかけて、巧妙に現金を振り込ませるという高度なテクニックを用いた詐欺だ。これを書くと結構長くなるので、別のブログで書きたい。

絶対注意してほしいこと

 まず送金する前に誰かに相談すること。彼らの言っていることが本当か、第三者に確認をとることが必要だ。たとえば弁護士を名乗る人物がいたら、日弁連に電話してみるといい(電話番号は03-3580-9841)。弁護士の名前を言って電話番号を聞こう。そしてそこで教えてもらった番号に電話をかけてみよう。そして、こういった請求を弁護士さんから受けているのだけどと相談したほうがいい。警察が絡んだら104でその警察の電話番号を調べて電話する。
 それから、こうした犯人は、とにかく急がせることで、被害者の判断能力をに鈍らせようとする。相手が急がせても、そのペースに乗らないこと。これはすべての詐欺案件にいえることである。