性染色体の危機/男性が生まれなくなるかも

NHKスペシャルで放映

 1月18日(日) 午後9時から1時間番組NHKスペシャルで、「男と女」シリーズ第3作が放映される。以下が番宣の一文である。
性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7千万年前に獲得したこの性システムのおかげで私たちは命を脈々と受け継いできた。ところが、この基本そのものであるシステムは、大きく揺らいでいる。じつは男をつくるY染色体は滅びつつあるのだ。専門家は「数百万年以内には消滅する」という。なかには、来週になって消えても不思議ではないとする意見さえある。
じつは「遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者がそろって初めて子孫をつくる」というのは、私たちほ乳類が独自に獲得した方法だ。ほかの生物はメスだけで子孫を残せる仕組みを持っている。そのほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を支えた一方、いよいよその寿命が尽きようとしているのだ。
さらに人間の場合、Y染色体を運ぶ精子の劣化も著しい。これは生物学的に一夫一婦制が長くなった影響だという。
こうした性システムの危機に私たちはどう対応すべきなのか。シリーズ最終回では、いわゆる試験管ベイビーが生まれて30年、生殖技術をめぐる最前線もたどりながら、現在、性の揺らぎが引き起こしているさまざまな影響を追う。

Y染色体のない哺乳類が既にいる。

 実はトゲネズミという動物はY染色体が存在しない唯一の哺乳類なのだそうです。Y染色体上にあるSRY遺伝子という遺伝子が、オスに作り上げるためのスイッチの役割をしているのですが、それがないのです。しかしトゲネズミはオスとメスがいて、子孫も作れています。
http://www.biological-j.net/blog/2008/01/000366.html

シンクロニシティ

 こうした突然変異が、一匹だけのネズミに発生したのでは、このような種は生まれないかも知れない。ある時期に、Y染色体のない、しかも子孫を作れる仕組みを持ったネズミが、ある程度まとまって発生しないと、こうしてこのネズミの子孫が生まれることはないだろう。そこで思いつくのがシンクロニシティという言葉だ。シンクロニシティは「共時性」とも訳され,複数の出来事が、原因結果の関係も、共通の原因もなしに意味的関連を呈して同時に起きること,である。もう少し簡単に言おう。
 よく偶然の一致ということがある。これはユングの考えによると、意味のある偶然だそうで、これはシンクロニシティの一つの表れだ。人間の意識は、集合意識というところでつながっているため、偶然を装ってそういったものが現われるというのです。
 これはいろいろな形で表れています。例えば、あなたがAさんに会いたいと思っていたが、連絡できずにいた。ところがあるパーティーに行ったら偶然Aさんもいて会うことができた。こうした偶然というのは実は非常に低い確率でしか起こらないものなのに、ふと起きてしまう。これがシンクロニシティなのです。
 これはある社会学者の行った実験なのですが、年齢と趣味とかだけが分かっているBさんという人物を、彼の所在を探す手紙をリレー式に出すと、5通目で本人に行きあたると言うのです。具体的にはこのBさん、ベイスターズファンの横浜市生まれの30歳だとします。数人が無作為抽出した人に(人数は忘れました)、手紙を送ります。手紙には「ベイスターズファンで30歳で横浜市出身のBさんという人を探しています。ひょっとしてあなたがこの人を知っているか、いないとしても『あの人ならひょっとしたらBさんのことを知っているかもしれない』と思う人5人にこれと同じ文面の手紙を出してください。もしあなたがBさんなら××に手紙をください。」と書いておくのです。すると平均して5人目くらいのところでBさんに手紙がつくというのです。これはひょっとしたらシンクロニシティを意図的に起こす一つの方法なのかもしれません。
 ここで一つの話があります。「ある二人の科学者が、入手した種結晶を使ってグリセリンの結晶化に成功すると、実験室の全グリセリンが密閉容器内のものを含めて自然に結晶化した。この日を境に、世界中のグリセリンが17.8℃で結晶化するようになった。」という話です。かつてWikipediaシンクロニシティの項に、これがシンクロニシティの一例として書かれていました。しかし今は削除されています。結局都市伝説だったらしいです(http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1116672721
 でも、進化の過程では、同時発生がシンクロニシティとして起きるようなオカルト的思考にとらわれてならないのです。