DVは救われる!                               シェルターに一時宿泊し自分を見つめ直そう

DVとは

 DVとは、ドメスティック・ヴァイオレンス家庭内暴力のことである。身体的暴力のほか、精神的暴力、性的暴力も含まれる。性的暴力とは、セックスを強要する場合だけでなく、コンドームをつけるように求めてもつけてくれない、むりやりAVを見させる、といったことも性的暴力に含まれる。DVが行われた場合、その直接の被害を受けた配偶者だけでなく、これが子どもの前で行われれば子どもも精神的なショックを受けるので、子どもも被害者になる。

DV相談件数6年間で3万5943件から6万2078件に

 DV防止法が02年1月から実施され、相談窓口として各県に配偶者暴力相談支援センターが置かれた。センターへの年間相談件数は、全国で、初年度は3万5943件であったのが、07年には6万2078件にとほぼ倍増している。これはDV被害者が増えたと言うより、これまで隠れていたDV被害が表面化しつつあるといっていいのではないか。
 05年11〜12月に内閣府が行ったアンケート調査によると(回答者2888人)、配偶者から暴力を何回も受けたかという質問に対して、女性は5.8%が、男性は1.3%が「はい」と答えている。配偶者から嫌がらせないし脅迫を受けたことが何回もあるかという質問に対しては、女性は5.3%が、男性は1.6%が「はい」と答えている。1回でもあるという女性回答者のうち、31.9%が子供が目撃なり、物音を聞くなりしてこうしたDVを知っていると回答し、さらにその66.9%が「子供に影響を与えたと思う」と回答している。
http://www.gender.go.jp/e-vaw/chousa/images/pdf/chousagaiyou.pdf

まずは別れよう

 こういった男性に「いつかは治るだろう」「そのうち分かってくれるだろう」などと思っていても結局は無駄に終わる場合が多い。「子どもがいるから」というのも、自分が決心できないことの言い訳でしかない。例えば相槌を打ちながらでなければ話ができない人がいるように、こうした男性は、暴力によって支配することでしか家族関係が築けない。支配、被支配の関係があって、初めて人間関係が成立するという思想の信者でもある。とにかく、別居することだ。
 配偶者暴力相談支援センターが各県にひとつはある。そこにまず相談したほうがいい。「これがDVにあたるかどうか分からない。DVだということであれば相談するのだが。」などと躊躇する必要はない。DVかな?と思ったら、すぐ相談したほうがいい。各センターで一時保護所を用意している。センターが民間シェルターを紹介してくれることもある。とにかく、DV夫から離れて、自分のこれからを見つめ直すことのできる環境が必要だ。
 心身の健康を回復し、また今後の住所、就職確保についての助言もしてくれる。
※全国のセンターについてはここ↓
http://www.gender.go.jp/e-vaw/advice/advice02list.html

保護命令

 DV防止法は、正確には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」という。最近被害者の保護をさらに強化する法改正が行われ、改正法は08年1月から施行されている。
 配偶者から暴力を受けた場合だけでなく、身体に危害を加えるかのように脅された場合にも、被害者は裁判所に保護命令を求めることができる。配偶者といっても現に結婚している場合だけでなく、内縁関係にある場合、既に離婚している場合も含まれる。
 保護命令は6か月有効で、ストーカー行為や被害者の住居、勤務先等の付近を徘徊してはならないことを命令するものであるが、さらに次のような行為を配偶者に禁止することもできる。

  1. 面会要求
  2. 行動の監視
  3. 著しく粗野又は乱暴な言動
  4. 無言電話、迷惑電話、迷惑メール
  5. 緊急の場合を除き、午後10時から午前6時までの間、電話、ファクシミリ、電子メール
  6. 汚物、動物の死体等の送付、置き去り行為
  7. 名誉毀損
  8. 性的羞恥心を害する行為   

保護命令は難しくない 気軽に申し立てよう

 内閣府が06 年10月25日から11月27日にかけて、配偶者暴力相談支援センター、民間シェルター等への相談者に対して行ったアンケート調査がある(799人回答)。
 DVの内容を見ると、精神的暴力が87.1%、身体的暴力は86.9%、性的暴力は46.1%である。このうち保護命令を申し立てた人が37.1%、申し立てていない人が59.3%(残りは未回答)いる。
 申し立てた人のうち、保護命令が発令された人が80.1%、審理中が7.8%、却下された人は5.1%、取り下げた人は6.7%にすぎない。申し立てれば、かなりの高率で発令されていると言って良い。
 逆に申し立てなかった人に、その理由を聞くと、相手の反応が怖いが34.8%、保護命令の制度自体知らなかったが28.1%、決心がつかなかった19.2%、そもそも保護命令の要件を満たしていなかったが16%(複数回答可)であった。問題なのは「保護命令の制度を知らなかった」が3割近くいることだ。配偶者暴力相談支援センターの職務として「保護命令制度の利用についての情報の提供」がうたわれているのに、これが適切に行われていない可能性があるからだ。
 アンケートの詳しい結果については
 http://www.gender.go.jp/dv/ziritusien-1901kekka.pdf
 センターのこと、一時保護のこと、保護命令のことについて詳しく知りたい方は内閣府のHPにある次のQ&Aを見るといいだろう。
 http://www.gender.go.jp/e-vaw/law/30.html#q09