足利氏父娘銃撃事件に思う DV加害者はたいがい普段はまじめ

足利の父娘銃撃事件の容疑者逮捕

 足利市の30歳の女性が、09年1月12日夕、元交際相手からが銃撃され重傷を負った事件。14日午後5時ころ、容疑者が元勤務先の運送会社のトラックに入り寝ていたところを、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された。逮捕当時、回転式拳銃1丁を所持していた。埼玉、栃木両県警の警官約100人で駐車場にあるトラックを包囲し、逮捕するという大捕り物だった。逮捕当時、容疑者は右手に拳銃を握っていたという。この男性DV(ドメスティック・ヴァイオレンス家庭内暴力
毎日新聞ニュース http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090114k0000e040038000c.html

容疑者、ふだんはまじめ

 容疑者の元の勤務先の社長が「遅刻も、欠勤もなくまじめ。そんなことをする人間には見えなかった」と、テレビのインタビューに答えていた。しかしDVの加害者は、会社とか公的な場面では暴力的でなく、周りからは普通の人物とみられることが多い。彼らは暴力を使う場面(家庭)と使わない場面(会社等)を、使う相手(妻、交際相手)と使わない相手(同僚、友人)を、意識的に使い分けている。彼らは暴力をふるっても、その後泣きながら謝るため、被害者は「本心では私のことを愛しているのだから」と言って、結局加害者と別れるのを思い止まってしまうのである。

総務省の調査

 総務省が05年11〜12月に行ったアンケート調査で、未婚者に対する「人格を否定するような暴言や交友関係を細かく監視するなどの精神的な嫌がらせを受けた、あるいは、あなたもしくはあなたの家族に危害が加えられるのではないかと恐怖を感じるような脅迫を受けたこと」が1回でもあるか、との質問に対して、20代の女性の22.8%が「ある」と答えている。40代の女性は12.4%であり、やはり若い男性の方が暴力をふるい易い傾向がある。
 同アンケートで、「ある」と答えた女性の31.4%、37人の女性が「別れたいと思ったが別かれなかった」と答えており、その理由について「相手が応じてくれなかった」が13人、「自分が相手には必要だと思った」が5人、「もうしないと考えた」が6人となっている。
http://www.gender.go.jp/e-vaw/chousa/images/pdf/chousagaiyou.pdf

まずは別れよう

 こういった男性に「いつかは治るだろう」「そのうち分かってくれるだろう」などと思っていても結局は無駄に終わる場合が多い。例えば相槌を打ちながらでなければ話ができない人がいるように、こうした男性は、暴力によって支配することでしか家族関係が築けない。支配、被支配の関係があって、初めて人間関係が成立するという思想の信者でもある。とにかく、別れることだ。

ストーカー行為規制法

 この事件の場合、被害者、加害者が結婚していないのでDV防止法の適用はなく、ストーカー行為規制法が適用になる。法律上、次の行為がストーカー行為とされている。こうしたストーカー行為が、恋愛感情から、あるいはそれを受け入れてもらえないことの逆恨みから、その感情の相手方、ないしその親族、その他の関係者になされた場合、規制の対象となる。

  1. つきまとい・待ち伏せ・押しかけ等(自宅・学校・職場など)
  2. 監視していると告げる行為
  3. 面会・交際の要求
  4. 乱暴な言動(生命・身体・自由・名誉・財産に危害を加える言動が必要です)
  5. 無言電話、連続した電話・FAX
  6. 汚物・動物の死体などの送付
  7. 名誉を傷つける文書の送付
  8. 性的しゅう恥心を侵害させる物品の送付

 こうしたストーカー行為の被害者は、警察に申出をして、相手に対する警告を出してもらうことができる。それでも、相手が警告に従わない場合、公安委員会は、相手に反論の機会を与えた上で禁止命令を発することができる。女性の身体に危害が加わったり、住居に居座られたり、あらぬ中傷をふりまかれたりする緊急の状態があった場合は、警察署長の権限で仮の禁止命令を出すことができる(15日間のみ有効)。
法律の全文は↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO081.html