トヨタ、キャノンの巨額内部留保金

トヨタ、キャノンなどの大手製造業16社 内部留保金33.6兆円

大量の人員削減を進めるトヨタ自動車キヤノンなど日本を代表する大手製造業16社で、利益から配当金などを引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末から倍増し空前の約33兆6000億円に達したことが08年12月23日、共同通信社の集計で明らかになった。
08年4月以降に判明した各社の人員削減合計数は約4万人に上る。しかし配当水準を維持、増やす方針の企業が目立ち株主重視の姿勢も鮮明だ。集計によると内部留保の合計は01年度末の約17兆円から08年9月末に98%も増加しているという。
共同通信配信2008年12月23日 19時04分)

トヨタ、キャノンの財務諸表を見て分かること

ネットでトヨタ自動車、キャノンの財務諸表を見てみた。08年度の未処分利益は、トヨタ自動車が12.4兆円、過去5年間で1.49倍に増えている。キャノンは2.8兆円で、過去5年間で1.9倍も増えている。従業員としては、会社がもうかれば給与、賞与を上げてほしい。しかしトヨタ自動車もキャノンも、将来のためということを言って、給与はあまり上げてこなかった。他方株主への配当金は過去5年間で、キャノンは285億円から1316億円へと4.6倍に、トヨタ自動社は1377億円から4309億円へと3.12倍に増えている。キャノンは、過去5年間で売り上げも1.4倍になっているのに、人件費を含む一般経費は5年間ほとんど横ばいだ。おそらくは、下請に対しても買い叩いてきたのではなかろうか。
両社とも配当金は増やす一方で、人件費を抑制して内部留保という貯金を積み上げてきた挙句、いざ会社が苦しくなると人員削減を行った。金庫には金がうなっているのに、首を切られるのだから、文句が出るのは当然だ。
注)09年1月の国会質問でも、この点が取り上げられていた。質問に立った民主党の議員によればキャノンの人件費は2000億円らしい(09.1.28付加筆)。

法人税の軽減は必要か

 法人税率は88年は42%だったが、その後どんどん税率が下げられ、99年には30%と米国の35%を大きく下回った。しかし経団連は欧州に比べるとまだ税率が高すぎるとしてさらなる減税を求めている。しかし企業にはいろいろな形で優遇税制がなされており、実質的には欧州並みになっているのではないか。
過去、法人税が減税されることで、どうなったか。結局、内部留保と株主配当が増えただけだった。株主配当も近年の外人株主の増大から考えると、結局国民生活は全く楽にならなかったのである。
ちなみに米大統領選で、オバマは25万ドル以下の収入の家庭にはブッシュの減税策(2010年で失効)を継続するが、それ以上の収入のある家庭を減税対象から外すとし、キャピタルゲイン課税を増税すると公約、マケインはブッシュの減税策を高額所得者にも維持、法人税を35%から25%に減税すると公約した。

関連ブログ

 よければ、電気自動車の登場がトヨタの落日をもたらすかもしれないと述べた一文がありますので、ご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20081123/1227448761
 トヨタ労組が09年春闘でベア要求した理由について新しく書きました(09年2月19日)
 http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090219/1235010081
 息抜きページもあります。これを読むと長く恋愛をはぐくむことができます。
http://d.hatena.ne.jp/yamada-home/20090112/1231774353
(この項09.1.20更新)