FRBゼロ金利 日本はどうなる?!

FRB、ゼロ金利

FRBは16日開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、FF金利の誘導目標をこれまでの1・0%から、0%〜0・25%という米史上最低水準に引き下げることを決定した。今までは日本の政策金利が0.30%と、世界最低であったが、これをさらに下回る。FOMCは、こうした事実上のゼロ金利状態を長期的に続ける可能性を示した。
こうしたゼロ金利状態の中、FRBは、市場に大量の資金を供給する「量的緩和」を強める。政府機関債や住宅ローン担保証券MBS)などを大量に購入するという。長期金利を引き下げるため、長期国債の買い切りも検討するとした。FRBの金融政策は、日銀と同様、伝統的な金利操作から資金供給増に手法が移った。

ゼロ金利政策で、円高はさらに進む

日本はゼロ金利時代、市中の貸出金利も著しく低くなり、円キャリートレードが盛んに行われた。円キャリートレードとは、海外投資家が日本の安い利息でお金を借り、その金で海外の株や債券を買うという投資方法である。
キャリートレードが盛んになると円安になる。理由はこうだ。外国人が日本でお金を借りた場合、貸付金は円で払われる。外国人は円では外国の株等を買えないため、円をドルやユーロに変える。多くの外人投資家が、円をドルに替える=円を売ってドルに替えるため、円安になるのだ。
しかし、米国の金利が低くなれば、円を借りる外人も少なくなり=円を売る人も少なくなるから、円安圧力が少なくなる。相対的に円高圧力が高くなる。
しかも、海外ヘッジファンドは、現在、解約が相次いでいるため(最高時の4分の1に収縮するという話がある)、円を借りて買った外国株をどんどん売却している。外国人は外国株を売った金で日本からの借り入れを返済する過程で、ドルを円に換える=ドルを売って円を買うため、円高が進んでしまっている。
すなわち、米国でのゼロ金利政策と、ヘッジファンドの縮小が、円高にとってダブルパンチになっているのだ。

日銀は政策金利を0.3%から0.1%に、さらにCP等の買い入れも

日銀は19日、政策委員会・金融政策決定会合を開き、政策金利を0.3%から0.1%へ引き下げることを決めた。日銀は10月末に利下げを行ったばかりだが、FRBが事実上のゼロ金利政策に踏み切ったため、わずか2カ月で追加利下げに踏み切らざるをえなかった。
 日銀の政策金利はもともと水準が低く、これ以上利下げをすれば、今後利下げの余地がなくなり、金融政策が硬直化する。日銀内では追加利下げへの慎重論もあったという。しかし、これはFRBが市場の予想を上回る利下げをしたため、これに負けないインパクトを持つ金融政策が必要になってしまった。
グローバリズムは産業間の競争だけでなく、中央銀行間競争、政府間政策競争も生みだしている。他国が金利を下げるなら、自国も金利を下げざるをえない。
 この日の会合では、政府が強く要望しているコマーシャルペーパー(CP)買い取り策の導入などについても検討された。CPは、企業が短期資金調達のために発行する社債のようなものだが、金融市場の混乱で買い手がつかず、発行が難しくなっている。日銀がCPの買い取りに踏み切れば、企業の資金繰りが大幅に改善される。
 日銀HPから↓
 http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081219.pdf
 これも米国FRBとの競争を意識してのことではなかろうか。