米国で始まったインフレ・ターゲット

山田@経済素人です。
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米国はデフレ

 今や米国はデフレ下にある。クリスマス商戦もかんばしくないらしい。今アメリカはデフレスパイラルの危機にさらされている。
デフレとは不況期にモノが売れないのでたたき売りせざるをえず、物価が下がる現象である。そして、デフレスパイラルとはデフレがさらなる不況を生み、さらなる不況がさらなるデフレを生むという、無間地獄のような現象を言う。日本の失われた10年デフレスパイラルによって作られた。

バーナンキFRB議長がドルをばら撒き始めた

 米国の中央銀行たるFRBは、08年11月、今後8000億ドルで証券化商品、CP(企業が資金調達手段として発行する手形)を買い上げる旨発表した。普通、中央銀行が市場から買い上げるのは国債に限られる。日銀が盛んにやっている買いオペがこれだ。国債は国の借金だから、これを現金で買い上げるのは、繰り上げ返済のようなものであり、国の負債を増やすことはない。証券化商品やCPを買うということは、将来ゼロ円か数十円になりかねないものを100円で買うものであり、ドル紙幣のばら撒きに近い。
 このように市場に金をばらまき、デフレを一定のインフレ状態(通常年2〜3%が目標)に誘導する政策をインフレターゲットという。FRB議長バーナンキは「ヘリコプターからマネーをばらまけばデフレは収まる」と豪語した人物であり、インフレ・ターゲットの教祖みたいな存在だ。彼がFRB議長になってからというもの、なかなかインフレ・ターゲットを使うチャンスがなく、欲求不満になっていただろうが、ようやくデフレになった今、水を得た魚のごとく、ドルをばらまいている。

オバマ政権になってもインフレ・ターゲットは変わらず

 バーナンキの任期は10年1月まで。デフレが解消しない限り、それまでバーナンキはドルをばらまきは続くだろう。10年1月バーナンキは退任し、サマーズがFRB議長を引き継ぐとされている。このサマーズもインフレ・ターゲット論者である。今後インフレ・ターゲットは、FRB議長2代にわたって続けられることになる。

インフレ・ターゲットとドル基軸通貨の維持

 ドルをあんまりジャンジャン印刷していると、ドルの価値がなくなって、そのうちドルが暴落するのではないかという危惧もなくはない。他の通貨ならそうなるだろう。しかしドルには暴落しない強みがある。第1にドルは世界中に流通している。分母が大きいだけ分子が増えても影響は小さい。第2に他の国はドルを刷ろうと思っても刷れない。第3に多くの国は、外貨準備を米国債=ドルで行っているため暴落してもらいたくないと思っている。
 米国でならインフレ・ターゲットが成功するかもしれない(しないかも知れないが、、)。米ドルで成功したとしても、それは米ドルだからであって、日本で成功するかどうかは分からない。

ウォーレン・バフェットはインフレを予想

彼は、世界一の投資家であり、世界一の金持ちである(forbsの07年長者番付で1位)。彼は買って値段が上がればすぐ売って利ざやを稼ぐということをしない。彼にとって買うべき株は「10年市場が閉じていて売れなかったとしても持ってて良かった」と思うような株である。そういった彼が、今は株が買い時だとして株を盛んに買っている。彼はインフレがやってくると考えているのだ(日経ベリタスの最新号より)。彼はオバマの政権移行経済顧問委員会の委員17人の一人だった(サマーズもその17人の中の一人だ)。オバマの政策を知る人間がインフレを予想した株を買い進めているのである。