羽賀研二 無罪判決 新証言が決め手

羽賀研二の詐欺事件とは

羽賀研二渡辺二郎(プロボクシング元世界王者)は01年6〜10月、知人の不動産賃貸業の男性に医療関連会社の未公開株計300株を取得額の約3倍で売りつけ、計約3億7000万円を詐取したとして起訴された。また二人は暴力団関係者の男ら2人=恐喝未遂罪で有罪確定=と共謀し、この男性から返済を迫られていた羽賀被告の債務約4億円を、1000万円を支払うことで免れようと計画。平成18年6月7日、大阪市内のホテルで男性を脅迫、債権を放棄する確認書に署名させた、として恐喝罪でも起訴されていた。
しかし、08年11月28日、大阪地裁は両名に無罪判決を言い渡した。

争点は羽賀研二が一株40万円で入手したことを知人男性に告げていたか否か

羽賀被告はこの問題の株を一株40万円で買っていた。詐欺罪の件では、羽賀被告が医療関連会社の未公開株300株を1株120万円で被害者の知人男性に売った際、1株40万円で入手したことを告げたかどうかが、争点となった。弁護側は「知人男性は株が値上がりすると信じ、羽賀被告が買った値段の3倍と知った上で購入した」と主張。一方、検察側は、羽賀被告が知人男性に対し、上場すれば何十倍にもなると購買意欲をあおり、もともと1株120万円で入手したものと誤信させ、差額をだまし取ったとしている

裁判所の判断を変えた新証人

この裁判は、08年5月8日に検察側が羽賀被告に懲役8年、渡辺被告に懲役4年をそれぞれ求刑して結審し、7月15日に判決が言い渡される予定だった。しかし、その後、弁護側が新たに1人の新証人を立て、裁判の再開を求めた。裁判所はこの証人を尋問するため、裁判を再開した。いったん結審となった裁判が、再開されるというのは、きわめて異例。再開したということは、この証人の証言の内容次第で無罪もありうると裁判官が考えたということだ。

新証人の尋問が行われた

新証人は歯科医。彼も羽賀被告から未公開株を勧められたひとりだった。この歯科医は、01年、羽賀被告から、「この方も株を買っている」とその知人男性を紹介されたという。歯科医は、その際、知人男性もいる前で、羽賀被告から「1株40万円だけどその値段では売らないと。120万円で売る。」「上場したら損はないと。何十倍ももうかる。」と言われたという。この歯科医の証言からすると、その知人男性は羽賀被告が一株40万円で買ったことを知っていて、120万円出したことになる。羽賀被告は、この歯科医との一件をすっかり忘れていたが、5月8日の結審後、数年ぶりに会った際、歯科医からこの話をされ、思い出したという。

判決はやはり無罪

28日の判決はこの歯科医の証言が決め手になった。中川裁判長は判決理由を次のように述べたという。
「株売却は不動産会社社長が強く求めたと認められ、社長の証言に全幅の信頼をおくことはできない。社長が3倍の値段と知って買うと話したとする(被告側証人の)証言も信用性がある」「詐欺が成立しないので、恐喝の前提となる債権は認められない」
毎日新聞 2008年11月28日 10時38分(最終更新 11月28日 13時12分)

未公開株のもうけ話に注意

別のブログで、詳しく述べたいが、未公開株のもうけ話には、十分注意してほしい。まず目録見書があるかどうか。直近まで決算書類が出されているかどうか。幹事証券会社が決まっているかどうか。この3点は絶対押さえておいてほしい。しかしこの3点が確認できたとしても、安心はできない。株式上場を目指す会社は多いが、その多くが、上場せずに終わってしまう。