子どもを医者に診せたければ保険料を払えという厚労省の理屈

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08年10月26日のブログでも書いたが、子供は親の健康保険に被扶養者として入っているので、親が保険料を払わないで健康保険証を取り上げられると、子どもはその巻き添えになってしまう。
健康保険証を取り上げられると、代わりに被保険者資格証明書を渡される。被保険資格証明書しかないと、病院でいったん10割の治療費を支払い、あとで7割の治療費を給付されることになっている。
厚労省もいきなり被保険者資格証明書を渡すのではなく、有効期間が数カ月ほどの短期保険証を交付し、それでも保険料を支払わないと被保険者資格証明書を渡すようにしているという。しかし、それでも、子供が巻き添えを食うことに変わりはない。
後先の問題で結局3割負担で済むんじゃないかという意見もあろうが、実際そう簡単な話ではない。保険料も払っていないというのは貧困家庭である。皆さんも、風邪で病院にかかれば2000円くらいは払っているだろう。それが10割負担となると7000円近くになる。保険料を払えない人たちはその7000円が払えないのである。

一部の市町村は超法規的措置

そのため、札幌市、船橋市市川市流山市伊賀市和歌山市、福岡市、唐津市大分市新潟県内の9市町村が、子どもだけの保険証を交付している。これは法律違反だ。しかし子どもに親の不払いのつけを回せないという観点から、これらの市は法律に違反しても子どもに健康保険証を渡している。流山市の担当者は「親が滞納していようと、子供は悪くない。」とその趣旨を説明する。(08年11月29日東京新聞朝刊)

厚労省の対応

こうした超法規的措置について、厚労省は現在のところ静観している。しかし、新聞記者の取材に対して厚労省担当者は「世帯内で保険証を分けることは想定外。子供の医療機会を守る趣旨はよく分かるが、滞納しても問題なしでいいのか。滞納を解除する機会を逃すことにもなる。短期保険証を活用し、払える中で払ってもらう方向で行きたい。」と述べている(08年11月29日東京新聞朝刊)。
「滞納を解除する機会を逃」さないように短期保険証を活用しろという。中には食うや食わずで健康保険料も払えない人たちがいる。厚労省はそうした人は生活保護を受ければいいというかもしれない。しかし、全国の市町村の尻を叩き、生活保護者を増やさないようにしているのは厚労省ではないか。そのため、北九州市では「おにぎりが食べたい」とメモを残し餓死した人もいる。子供を人質に保険料を払わせようという厚労省の役人の発言には怒りさえ覚える。

定額給付金に使う金があるのなら

麻生首相は、2兆円を定額給付金としてばらまく気でいる。そんな金があるならこうした問題解決にお金を使えと言いたい。
麻生首相は、年収1800万円以下の人は定額給付金を支払わない扱いをすることは可能というが、年収1800万円以上の人間がどのくらいいるのか。ほっけを煮つけで食っている人は違う、としかいいようがない。
(注)麻生首相は庶民性をアピールしようと、ある夜、ホテルのバーに行くのを控えて、居酒屋に突然訪れ、学生の飲んでいる席に乱入した。その翌日麻生首相は、前日のことに触れていわく「(料理は)ホッケの煮付けとか、そんなもんでしたよ」と発言。大島理森国対委員長から「ホッケに煮付けはありません。ホッケは焼くしかないんです」とあきれられた。そのほかにも、国会質問で、美人議員牧山ひろえにカップ麺の値段を知っているかと聞かれ、「400円くらい?」と答えたこともあった。