オバマ 経済回復諮問会議を新設の「なぜ?」

オバマ、経済回復諮問会議を新設

オバマは11月26日に経済回復諮問会議を新設、初代議長にボルカー元FRB議長が就任した。
しかし国家経済会議があるのに、なぜこういう組織が必要なのか、という素朴な疑問が生じるのだ。それは国家経済会議委員長に指名されたサマーズも同じ疑問を持つはずだ。

経済回復諮問会議って何?

諮問会議は民間の有識者を中心に構成し官僚機構とは別の立場から、景気対策や米国産業の国際競争力の回復など広範な分野について大統領に提言する組織だという。

国家経済会議(NEC)って何?

一方、サマーズが委員長になった国家経済会議(National Economic Council)とは、どういうものか。同会議は93年にクリントン政権時代新設された。大統領のブレーンとして、大統領の考えを実現するべく、経済面での基本政策を立案し、各経済官庁の調整を図って行こうという組織である。当然その仕事には議会対策も含まれる。安全保障、軍事問題について既にある「国家安全保障会議NSC)」の経済政策版というべきものがこのNECであった。このため、議会対策もNECの仕事になる。ところで、サマーズが財務副長官として議会で答弁の場に立った時、多くの議員から「議会に対する敬意が無い」と不評を買ったという(wikipedeiaより)。サマーズは丸くなったのだろうか。
同会議の初代ディレクターはロバート・ルービン(その後のFRB議長)であり、一説では、クリントンが同会議を設置したのは、ルービンにポストを用意するために作った組織だという話もある。

屋上屋ではないのか

屋上屋を架す(おくじょうおくをかす)という言葉がある。屋根の上に屋根を作る、要するに無駄なことを指しての言葉だ。国家経済会議があるのに、経済回復諮問会議を作る意味が果たしてあるのだろうか。
米紙によると、ボルカーの起用は、次期NEC委員長となるサマーズがホワイトハウスで政策決定を独占するのをけん制する狙いもあるとの見方もあるとのことなのだ。
そうならば理解できないこともない。サマーズは11月25日付の私のブログでも述べたように、剛腕かつ傲慢というべき人物。オバマの言うことなど聞きそうもない。上院議員を1期だけしか経験していないオバマに、反論する機会さえ与えないだろう。だけど、そうなら何でサマーズをNEC委員長にしたのか、ということになってしまう。

(2009/7/26追加)ニューズウィーク誌によると、サマーズは最近かなり丸くなったという。議会の質問でも昔の風はなく、丁寧に答えているという。人間丸くなったのか、FRB議長というポストを前に、猫を被っているのだろうか。最近オバマが、FRBの現議長バーナンキを良くやっているとコメントしたという記事があったが、オバマとしてはバーナンキに功労者として花道を用意し、バーナンキに後を継がせる気だろう。
 バーナンキは、輸出を伸ばすべきだと最近言っている。そうなると、ドル安誘導というシナリオも既にあるのかもしれない。こうしたところの裏話は絶えずオバマとしているに違いない。そうなるとオバマとしては早く自分の意向を汲んでくれるサマーズにFRB議長になってほしいはずだ。