夜の金融サミット

金融サミット中1日目の夜、会場の「 ウィラード・インターコンチネンタル・ワシントン」。 我らが麻生太郎が、いつもの日課で、ホテルのバーを訪れた。すると、ブッシュ、胡錦濤サルコジ、ルラ(ブラジル)が既にグラスを傾けている。太郎が近付くとブッシュが隣の席を引き座らせた。すでにサルコジ、ルラは完全に出来上がっている。ブッシュはをかなり飲んではいるようだが、顔色が悪い。
太郎:ホテルのバーはいいんですよ。経済的ですから。さすがインターコンチ、バーも立派ですな。
サルコジ:おお太郎、来たな。ブッシュの隣か。お前のほうからもブッシュに言ってやれ、お前のおかげでみんな迷惑しているってな。
ルラ:ブラジルも今景気が悪くてひどいもんだぞ。
ブッシュ:確かにな。お宅の国も50の財産が100になって、また50に逆戻りか。でも50の財産を100にしてやったのはアメリカだろうが、恩知らずが。
ルラ:ああ、確かにお前の国が一番買ってくれたさ。でもうちはヨーロッパにも、日本にも輸出しているけど、どこも不景気になって全部だめになっちまって。うちは資源国だろう。お前んとこのファンドがマネーゲームやっているもんだから、毎日値段が上がったり下がったり大変なんだよ。
ブッシュ:だから、規制もするし、監督もするって、今日も会議で言ったじゃないか。
ルラ:信用できないな。左手が、右手のやることを監視するようなもんだろうよ。お前の国はその右手で金を稼いでいるんだぜ。それを縛るようなことができるのかよ。
サルコジ:だから国際的に監視していくんだろう。
ルラ:為替だって、上がったり、下がったりして大変だ。
ブッシュ:その点、ドルは強いぞ。安定しているしな。ユーロが基軸通貨になるなんて、100年早いんだよ。ユーロなんか今暴落して全然頼りにならないからな。
サルコジ:ドルが強いから基軸通貨になっているんじゃなくて、ドルが基軸通貨だから強いんだろう。ドルが基軸通貨でさえなかったら、あれだけ財政赤字を抱えて、今頃暴落しているさ。お前のとこは対外債務の支払いが厳しくなれば、自分のところでどんどんドルを印刷すればいいんだからな。
太郎:しかし、今世界で一番お金を使ってくれているのがアメリカですよ。金融の中心もアメリカだ。アメリカが世界からお金を集めて、世界に投資しているから、世界が回っているし、新興国だって経済が伸びたんじゃないの。やはり基軸通貨はドルしかないでしょうよ。
サルコジ:その金融モデルが破たんしたから世界がこうなっているんじゃないか。アメリカも前みたいに世界から買い物してくれるかどうか分からんからな。みんなクレジットも通らなくてヒイヒイ言ってるみたいじゃないか。ビッグスリーも倒産するかもしれないし。やっぱり、胡さん、ここはあなたの国にがんばってもらわないとな。
胡錦濤:私の国は年8%のGDPが伸びてますし、4兆元(57兆円)景気対策に使いますからね。
太郎:日本も外貨準備100兆円の中から、10兆円をIMFに出しますからな。
一同:それは頼もしい。
(太郎はトイレに立つ)
ブッシュ:今はアメリカが15%以上IMFに出資しているから、IMFでやりたいようにやれるんじゃないか。日本が10兆円なんか出したら、うちは15%切っちまうだろう。
胡錦濤:まぁまぁ。別にIMFに出させないで、日本から直接破綻国を支援させればいいんですよ。
(ブッシュ酔いつぶれて眠ってしまう、サルコジ胡錦濤、ルラがひそひそ話を始める)
サルコジ:何もIMFだけがやらなきゃいけないって、もんでもないだろう。自分たちだけで基金を立ち上げるって脅してやればいいのさ。そうすればアメリカも15%を死守するなんて言えなくなるだろう。
胡錦濤:そのときはうちも一肌脱ぎますよ。
ルラ:IMFの救済を受けた国は、みんなボロボロにされている。アルゼンチンもそうだった。いいところは全部アメリカが持って行くんだから。
胡錦濤:だから我々がここにいるんじゃないですか。G20になれば、アメリカもあまり大きなことは言えないですよ。
サルコジアメリカは工業がコケ、ITがこけ、今や金融だけで世界を支配しているだけだろう。金融も国際的監視において、好き勝手やらせない。やつらは、もうけすぎたんだ。監視権限をこちらが持てば、あいつらもぼろもうけできないだろう。規制権限がこっちにあれば、あの連中を生かすも、殺すも自由だからな。
胡錦濤:生かさず、殺さずでお願いしますよ。うちもかなり米国債を買っているし、外貨準備もほとんどが米ドルですからね。
サルコジ:うちとの決済は今後、中国元建、ユーロ建に切り替えていきましょう。徐々にね。
胡錦濤:徐々にね。