北朝鮮 核検証法 サンプル採取を拒否

北朝鮮 サンプル採取を拒否

北朝鮮の外務省報道官は08年11月12日、核計画の検証方法としてサンプル採取を拒否する旨表明した。このため検証方法の文書化が焦点になる次回の6カ国協議代表会合がさらに遅れる可能性が出てきた。
すでに北朝鮮は、経済エネルギー支援の遅れを理由に、寧辺の実験用減速炉からの使用済み核燃料棒の抜き取り作業のペースを半分に落としているという。
北朝鮮は、米国のヒル国務次官補が10月に訪朝した際、検証方法は「現場訪問、文書確認、技術者インタビューに限る」と書面の合意があったと主張している。
(平成20年11月13日付東京新聞朝刊)

北朝鮮の狙い

北朝鮮はサンプルを採取されると、生成済みのプルトニウムの量が確定しまうため、それを嫌うためだと言われている。
北朝鮮は、いくら核兵器を持っているか、秘密のベールに包んでおきたいのだろう。ベールに包んでおけば、どれほどのプルトニウムがあるかどうか分からなければ、近隣諸国は、北朝鮮の持っている核弾頭ないし核爆弾がいくつあるか分からず、核の抑止力がより期待できるからである。

6カ国協議はすでに形骸化

ブッシュがテロ支援国家から北朝鮮を排除する際、日本はその記者発表のわずか30分前に伝えられていた。つまり、蚊帳の外に置かれていたのである。
もしヒルが、本当に、検証方法を「現場訪問、文書確認、技術者インタビューに限る」といったことを書面で約束していたのだとすれば、他の4カ国を軽視したものとしか言いようがない。
中国人民大学教授の時殷弘は「今や6カ国協議に意味はない。米朝の合意事項に他国は判を押すだけだ」と論評しているが、現状を見る限りまさに同教授の言う通りとなっている。もともと北朝鮮は、6カ国協議による話し合いは求めておらず、米朝協議だけを希望しており、これは北朝鮮が希望する通りの結果となっている。

北朝鮮の外交レベル

北朝鮮外交は瀬戸際外交と呼ばれ、あまり高い評価は受けていないが、決して外交レベルは低くない。たとえば会議の前の晩餐会で、北の外交官は相手方国の外交官全員に同じ質問をいくつかし、その回答を見て、意見の対立がどこにあるか、その対立がどの程度重大なものかを見極めるという。
北朝鮮は、オバマが対話路線であることを知って、来年1月オバマが大統領になるまで待ちの姿勢でいるように思える。

ちなみに北朝鮮の情報機関は陸軍中野学校のノウハウから

話がそれるが、北朝鮮諜報機関は、戦前のスパイ学校である陸軍中野学校の諜報テクニックをそのまま使っているという。例えばスリーパーというのも元々中野学校の諜報テクニックだが、中野学校は戦国忍者の「草」という手法をそのまま採用している。草は、普段は、敵国で相手武将の配下だったり、宿屋の主人だったり、武家へ出入りする商人だったりする。工作員として現地に入りながら、何十年と仮の仕事に励んでいる。いざ指令があれば、瞬時に工作員として行動するのだが、指令がなければそのままそこで仮の仕事についたまま一生を終える。これが草であり、その現代版がスリーパーだ。
ちなみに、金正一は優秀な工作員を「おまえは中野だな」と言ってほめるそうだ。