米国は消費者金融に公的資本を投入

米金融安定化法の7000億ドルの使い道

米金融安定化法に米財務省は7000億ドルの不良債権買い取り資金を手にした。しかし、米財務省は、議会承認が必要な3500億ドルの使途について、当初予定していた銀行からの不良債権の買取は取りやめ、消費者金融への圧力緩和に費やす方針を明らかにした。
ポールソン米財務長官は、記者会見で「消費者金融部門では、資金不足によって費用が上昇しており、自動車ローンや、学生ローン、クレジットカードの利用が減少している。このことが米国民の負担を重くしており、国内の失業増加につながっている。」と述べた。
Bloomberg Global Finance 11月14日号)

米国のGDPの7割は国民消費

米国のGDPの7割は国民の消費により賄われている。しかし米国の消費者は、クレジット好き。米国人の購買力もクレジット次第である。しかしクレジット会社の経営体力が落ちて貸し渋り状態になっているため、米国人の消費意欲も減少傾向にあった。
米国人は、11月第4木曜日の感謝祭を家族で過ごし、翌日金曜日はブラックフライデーと言われ、早朝から店が開き、バーゲンが行われる。米国人は、10月末のハロウィンから次第に、お祭りモードに入り、感謝祭からクリスマスまでは、完全に浪費モードのギアが入りっぱなしになる。米国人はこの時期に50%の買物をするとも言われている。まさにこれからが米国内消費の天王山なのである。
こうしたこともあって、この時期にポールソンはクレジット、消費者金融への資本注入を言い出したのだろう。
すでに米政府は、GEの1390億ドルについて米政府が保証するころを決めたと発表している。

議会はどうなる

ペロシ米下院議長は11日、米自動車メーカーの破綻阻止のため、金融安定化法を適用する法律の制定を求める声明を発表した。GMの株価は2.95ドル、フォードは1.90ドルになった。ある民間企業の調査によれば、ビッグスリーが経営破たんすれば失業者が250万人以上に上る可能性があるとされている。
ペロシ議長は8日、ポールソン財務長官に対して金融安定化法の活用検討を要請したが、財務省は、金融機関以外の適用に難色を示している。オバマ次期大統領も10日のブッシュ大統領との会談で、金融安定化法活用など、ビッグスリーへ早急な支援を要請した。
財務省が3500億ドルを、消費者金融への資本注入を提案しても、民主党側がビッグスリーへの資金援助を主張し、否決されることが予想される。
要は、3500ドルが、消費者金融、クレジット業者の資本注入に使われるのか、ビッグ3の財政支援に使われるのかがまさに問われることになる。