SFCGが顧客の3割にいきなり一括請求

SFCGが顧客の一部にいきなり一括請求

事業者への融資を行っている商工ローンの大手、SFCG(旧商工ファンド)が、分割返済中の融資先の約3割に、一斉に一括請求をしているという。
(ダイヤモンドオンライン10月17日)

毎月約束通り払っている人に対して一括請求

一括請求を受けているのは支払が遅れている人ではない、支払をきちんと継続している人だ。事業者は金利の安い銀行から事業資金を借り入れしたい。にもかかわらず、金利の高いSFCGから借りるというのは、財務内容が悪いからだ。だからSFCGに対しても必死で返済してきたに違いない。そして、その結果がこれである。
SFCGは「貸金業法の改正により、審査基準を厳しくした結果、審査基準に達しない顧客は約定違反の顧客」に一括請求したとコメントしている。
しかし、今回の一斉請求の中に「約定違反の顧客」はかなり少ないはずだ。SFCGは少しでも支払いが遅れれば督促は厳しい。延滞の早期解消が無理と見れば、すぐに債務者の売掛金を抑えるべく売掛先に債権譲渡通知を送ってくる。すなわち「約定違反」があれば、とっくに一括請求を受けているはずで、今回一括請求されたほとんどの事業者は支払はきちんとしている人たちのはずなのである。

SFCGが最近少しおかしい

SFCGは最近おかしい。支店を統廃合し、原則各県ごとに一ケ所しかおかず、支店をみな子会社化した。たとえばSFCG千葉支店は千葉アセットファイナンスに変わったのである。あるアセットファイナンスの事務所では、統合のため、従業員がすし詰めに押し込められているという。そのため社員の士気も落ちているらしい。
ある顧客は、従業員から「●●さん、支払がきついでしょ。過払い金が出るから弁護士に相談した方がいいよ。」と勧められて、うちの事務所に相談に来ている。
またある顧客のところには、突然調査会社を名乗る男性があらわれ、あなたはSFCGに●万円の過払金が発生している。うちに任せてくれれば弁護士を紹介すると言われたという。怪しいので、複数ある貸付金の契約番号を聞くと、みな正確に答えたという。内部資料が外に漏れているのだろうか。

ちゃんと払っている顧客に一括請求することが許されるのか

同社の契約書には、「契約締結後に他の金融業者より借り入れて、それにより資産状況が著しく悪化したとき」は一括返済しなければならないとある。
しかし、3割もの顧客がこの条項に該当するとは考えにくい。
実際、一括請求された人が、アセットファイナンスに一括請求してきた理由を聞いても、明確な理由を言ってくれないとのことだ。
もともと、SFCGは多くの場合、高い金利で貸付をしている。それは同社の貸出先の信用状態が悪く、貸し倒れの心配が大きいからであろう。にも関わらず、資産状態が悪化したらすぐに一括請求するというのでは、高い利息を払わせる意味がない。
もし同社が、一括請求が根拠のないにもかかわらず、これたあるかの如く装い、債務者に一括請求をし、債務者は企業の継続をあきらめざるをえないかもしれないとの深刻な思いに至らせたことは不法行為にあたる可能性がある。
前記ダイヤモンドオンラインの記事は、かねてからスポンサー立場にあったリーマンの経営破たんにより、リーマンからの資金調達が難航したことが、その背景にある可能性を指摘している。もし、それが本当だとしたら、とんでもない話である。