タクシー金融業者逮捕 

10月9日タクシー運転手専門に金融業を都内で営んでいた酒井正男が、出資法違反で逮捕された。
逮捕した亀有署によれば、同容疑者は04年3月から08年7月までの間に、当初はビッグ・バンサービス、その後はトライ・サービスと名前を変えて、延べ985人のタクシー運転手に金を貸し、約1億5800万円の利息を得ていたという。

ヤミ金の中にも、タクシー運転手専門に金融を行っている業者があり、タクシー金融と呼ばれている。駅等で客待ちして並んでいるタクシーのワイパーにチラシをはさみ、集客している。
こういった会社の特徴は、同僚にも貸付をし、互いに保証させるという「相保証」を多用することにある。
たとえば、運転手Aに「おたく一人だと、5万円貸すのが精いっぱいだけど、同僚をもう一人連れてきてくれて相保証してくれれば、10万円貸すよ」などと言って、運転手Bを連れて来させる。そして、A、Bに10万円ずつ貸付け、互いに保証をさせる。
こうすれば、客が一気に二人に増えるし、同じ会社の同僚なので、逃げるに逃げられないだろうというのが、業者の狙いだ。

あるときなど、タクシー金融から借りて、互いに保証人になったタクシー運転手4人がまとめて、相談に来たことがある。

タクシー運転手は、会社を転々とすることが多く、また収入が不安定。しかも最近は、改正貸金業法が近々実施されるとあって、貸し渋り気味である。そのため、サラ金もタクシー運転手には貸してくれない。そのため、こうした業者がつけこむ隙が生じるのである。

ここでひとつ問題を。
Aさんはヤミ金から3万円借り入れ、1万5000円を返しただけで、その後返していない。果たしてAさんはヤミ金にいくら払わなければならないか。
答えは
Aさんがヤミ金に支払う必要は一切なく、逆に、ヤミ金がAさんに1万5000円支払わなければならない。

これが最高裁判例である。
くわしくは最高裁のホームページにある以下の判例の全文をお読みいただきたい。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080610150547.pdf