庶民は世界同時株安をどうとらえているか②

投機と投資は違う。
安い時に買って高い時に売ろうというのが投機であって、長く持って会社の成長を待ちながら長期資産として保有するのが投資である。

最近のテレビニュースでは、証券会社の電光表示を浮かない顔で見ている年配の男性が盛んにインタビューされている。こういった人たちは退職金をつぎ込んだ投資家たちである。
彼らは、いざというためにと貯蓄感覚で株を買っており、5年後、10年後に株価が回復してくれていればという感覚でいる。

しかしネット投機家たちは違う。株価が下がれば、損が出ないうちに、或いは損がこれ以上拡大しないように売却してしまう。
信用取引で買っている投機家はなおさらだ。彼らは、いわば10万円で100万円分の株を買っているため、株価が1割下がっただけで投資金の全部を失ってしまう。だから株価が下がると、お金を積み増すか(これを「追い証」という)、株を処分しなければならない。値段が急落しているときに、とにかく株を処分しなければとなると、それこそ捨て値で売るようなことになるので、信用取引の投資家が多いと、それこそ株価は急落するのである。

株がこれだけ急落するのは、それだけ、投機対象で株を買っている人や、信用取引で買っている人が多いということだ。また外人投資筋が資産売却のために売り急いでいるという事情もある。

NY市場では、暫定的に空売り規制が行われた。「空売り」とは株を一日とか短期間借り受け、それを市場で売り、再度買い戻して元の株主に返却するやり方である。株が下がるとなれば、無資金で、株の下落額がそのまま、利益になるので、株の暴落を招きかねない取引である。ロシアの株式市場では暴落時期に証券取引所の営業を停止する措置が行われたが、こうした荒業は日本では無理だが、NY市場の空売り規制は十分検討の余地があるのではないか。

麻生首相が期限付で自社株買いを許可しようという案を表明しているが、短期的にはいいアイデアだと思う。ただ自社株買いは究極のインサイダー取引である。そのため、有価証券規制内閣府令に基づき、各証券取引所に置いてガイドラインが定められている。麻生首相のいう案が、こうした内閣府令を一部改めることも含んでいるのか、不明であるが、一般投資家を害しないよう細心の注意が必要になる。

しかし、長期的に安定株主を増やす方策を考えてほしいと思う。