労働者性をめぐる問題

今日は弁護士会労働判例研究会に出席しました。
本日のテーマはH27.9.11大阪高裁判決(NHK神戸放送局事件)です。NHKの訪問員が労働者に当たるかが争点になっています。
この訪問員とNHKとの間の契約は,文言上は業務委託契約となっていますが,実態は労働契約ではないかということで,訪問員が契約を打ち切られてことについて地位確認と未払い給与請求をしている事案です。
・エリアが決められ,1−3カ月ごとに変更される
・いつどこを訪問したかを携帯電子端末で逐一管理
・目標訪問件数を設定
・報酬額は,訪問件数に応じ累進的に固定。
・いつ訪問活動するかは自由
・他の人間を手伝いで使用することも可能
と,労働者か業務委託かがあいまいな契約形態になっています。
地裁は労働者性を認め,高裁は否定,今上告受理申立中と,まだ先行きも見えません。
そもそも,委託契約でも労働者性の強いものもあれば,労働契約でも自由性の強いものも存在します。現在,その境界は非常にあいまいです。にもかかわらず,労働者かどうかで法的な扱いが180度違ってきます。
この場合,場所的時間的拘束があるか,業務命令に対する諾否の自由があるのかといった解釈基準で切り分けられ,労働者だとすれば手厚い保護を受け,労働者でないとなるといつ切られても自由という非常に不安定な立場に立たされるます。
しかし,こうした硬直的な解釈が限界にきているようにも思われます。場合によったら,最高裁判決が出るのか?非常に注目される案件です。