内閣府試算「李克強指数」が5か月連続低下

李克強指数とは

この李克強指数なるものの名付け親は英エコノミスト誌。李克強首相は2007年に遼寧省党委員会書記に就任していた際、政府の発表するGDPは信用できないので、自分は電力消費量、鉄道輸送量、銀行融資の3つの指標により、遼寧省の当時の経済状況を判断していると言った。この3つを掛け合わせたのが李克強指数だ。
ロイターのサイトに李克強指数のもとになる指標の推移が公表されているので、それを見るとより参考になる。

内閣府分析

内閣府は、李克強指数を独自に計算し、その分析結果を「世界経済の潮流」(世界経済白書)で明らかにした。。同指数は昨年10月に10.6というピークに達したが、昨年11月以降、今年3月まで5カ月連続で低下し、3月の指数は5.1となり、前月比で1.1ポイント低下となっている。

中国経済の三つの地雷

中国は、不動産バブル、過剰生産、シャドーバンキングという三つの地雷を抱え、これら三つは相互に関連している。この一つで爆発すれば、他の二つも誘爆する。中国経済がハードランニングするとなると、ギリシャ、スペイン、イタリアの比ではない。最悪のシナリオだからこそ、多くのエコノミストは「そんなことにはならない」と言い続けている。その論拠は、中国政府の財政が健全であること、指導層が優秀であることにあるが、果たしてどうか。中央政府は確かに健全財政かもしれないが、地方政府はどうか。指導層が優秀であっても、政治的環境によって政策の手段は限られる。国有企業を淘汰しようとすれば既得権層が黙っていないし、共産党政権への批判を和らげようとすれば、国有企業を存続させて、雇用を守らざるを得ない。最近中国の就活中の大学生の希望月給がピークだった11年の5537元から今年は3680元へと、大幅に低下している(6月2日付日経朝刊)、要は高度産業化が進んでいない証左である。

節約令で国内消費冷え込み

さらに習近平路線になって、公務員の接待費の削減など倹約令が敷かれ、こういった特権層の消費が大幅に落ちている。中国の公務員の給料はそれほど高くない。だから公務員は、賄賂で、給料の少なさを補っている。給料が低いから賄賂をもらうのか、賄賂を貰うから給料は低くても良いということになるのか。これは鶏と卵のようなもので、その意味中国の汚職は構造的といえる。警察、裁判官、教師までが堂々と賄賂を貰うのが中国である。その中で、賄賂は政治的文化であり、こうした賄賂が国内消費の1割を占めているという話がある。従って、公務員の賄賂がなくなると、消費が大きく落ち込むことになる。かつて毛沢東紅衛兵を使って政敵を葬ったが、毛沢東スターリンを尊敬するという習近平は、汚職追及という武器で自己の政治的立場の弱さを補っている。