タイの皇太子はタクシン派?

6月1日付日経記事で岡崎久彦元駐タイ大使がインタビューに答えている。
同氏の次の発言は、タイの既得権益層(反タクシン)の意見を代弁するものだろう。
「豊かになると、人々はは自由を求めて、民主主義を実現した。社会の秩序が乱れると軍が統治するの繰り返しで、一種の二大政党制と言えた」
「タクシン元首相が地方の貧困層という票田を掘り起こし、ある種の階級闘争に発展してしまった。タイは階級社会で貧しい人は自分の身分に甘んじてきたが、タクシン氏のばらまき政策で状況が代わった。」
同氏は、プミポン国王が亡くなれば、タクシン有利になるため、軍部が既得権益層の焦りを反映してクーデターを起こしたのだと分析する。
「国王の健康問題は一つのカギだ。次期国王になる皇太子はタクシン派から資金を得ているとされている。今回のクーデターは高齢の国王が亡くなる前に憲法を変え、安心できる政治システムを構築しようという既得権益層の焦りともとれる。皇太子が権力を握れば改革ができなくなるからだ。」
改憲の目的は上院に(首相任命権)を与えるなどして、上院の力を大きくすることだと思う。」
同氏は、親中派のタクシン派排除は日本の国益になると説く。しかし、それは危ない賭けだ。強権的なタクシンが復権すれば、大きな恨みを買うことで、日本が大いに不利になるからだ。タクシンは現在日本に滞在中という情報もあり、タクシン=親中派と断ずるのは早計だ。同氏は、既得権益層の立場から発言しており、その分を割り引いて考える必要がある。
「選挙はしないだろう。プラユット氏が中心の政治はかなりの間、続くのではないか。日本のチャンスだ。タクシン派はどうやら親中派らしい。」