G20 米国に失望
G20共同声明
ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は4月11日共同声明を採択した。新聞では「ウクライナ経済注視」「IMFの支援を歓迎」とウクライナ関連の事項にスポットライトを当てていたが、もう一点興味をひく1項があった。「IMF出資比率見直しの進捗の遅れに深く失望」である。
IMFとは米国の世界支配の道具
そもそもIMFとは、為替相場の安定を図ることなどを目的に、1944年米国ブレトンウッズで開かれた国連金融・財政会議で、ブレトン・ウッズ協定が結ばれ、戦後復興策の一環として国際復興開発銀行(現在は世界銀行の支配下にある)と共に創設されたのが始まりである。通貨危機に陥った政府に金を貸すのが大きな仕事だ。こう書くと、IMFってありがたい組織なのね、で終わってしまうのだが、IMFは米国の世界支配の道具なのである。IMFの意思決定は総会で行われるが、重大な組織決定は85%を超える賛成が必要になる。逆に言えば、15%の反対があれば、何も決まらないということになる。そしてこの議決権は、どの国がIMFにどれだけ出資したかによって決まっており、実は米国1国で15%超を出資している。すなわち、IMFは米国だけがVETO(拒否権)を持っている組織なのである。IMFの歴代の専務理事(IMFのトップ)は欧州の国から出ており、現在の専務理事はフランスのラガルド。ただ、これは世界銀行の総裁に米国人がなり、IMF専務理事は欧州人がなることで、体裁を保つ必要があるからだ。国際連合=連合軍である以上、米国の意思が最優先されるのは暗黙のルールだった。だから面白いことに、専務理事が辞任等で空席になると、必ず黒幕たる米国が代行を出すことになっている(ストロス・カーンが女性問題で辞任した後、代行を務めたのは米国のリプスキーだった)。