タイに内乱の惧れはないのか

タイの情勢が不安だ。
憲法裁判所は4月2日、インラック首相が2011年に当時の国家安全保障会議の事務局長タウィル・プリンスリーを異動させた人事は違法だとして首相の弾劾を求めていた反首相派議員団の訴えを受理した。
タクシンが選挙で政権を取るとクーデターを起こされ、タクシンの後継者が政権を取ると選挙違反を理由に解党命令を出された。タクシン派は選挙で勝っても、必ず旧エリート層(旧体制派)が選挙以外の方法で、政権を奪取してきた。インラック政権もまた同じ道を歩もうとしている。
インラック政権が行った下院選挙は、反タクシン派の妨害で、同一日に行うことができず、憲法裁判所は裁判を無効としている。これで弾劾が通るとなると、タクシン派は選挙で3回勝ちながら、いずれも選挙以外の方法で引きずりおろされたことになる。
そうなるタクシン派が、選挙以外の方法で、すなわち実力行使で政権を取ろうと考えたとしても不思議はない。
軍も上級将校は反タクシン派だが、中堅層にはタクシン派が多い北部農民出身者もかなりおり、今までのように軍がタクシン派を実力で抑え込むことが可能かどうか分からない。タクシン派は警察にも支援者が多く、警察が武力抵抗に回る可能性もある。