米財務長官G20宛書簡で 日本内需見通し不透明と

ルー米財務長官は18日、20カ国・地域(G20)に宛てた書簡で、日本経済を支えてきた内需の見通しが不透明で、「世界経済の見通しのリスクになっている」と懸念を示した。
「日本経済はこの2年間主に内需が牽引してきたが、その見通しに雲が垂れ込めている」と指摘。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の3本の矢を調整し、引き続き内需が主導する形での景気回復につなげることが重要だと強調した。
msn産経ニュース 2014.2.19 12:57
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140219/fnc14021913020009-n1.htm

安倍首相は1月のダボス会議で「いかなる既得権益も私のドリルから無傷ではいられない」と公言したが、実際のところ、安倍ドリルは岩盤を避けて掘っているようにも思われる。アベノミクスの成功の過半は黒田日銀の異次元金融緩和に依っている。日本株を推奨していたジョージ・ソロスダボス会議以降、日本株を売りに回っているとの情報もある。米国からも、それを見透かされ、第三の矢=規制改革の実行を米から迫られた形だ。
安倍首相は、官邸主導ということで、トップダウンで政策を実行しようとしているが、最近になって、自民党から独走に待ったをかけられている。
安倍首相が、第三の矢を放とうとしても、党から羽交い絞めにされて身動きがとれなくなることも十分ありうる。
昨年10─12月期の日本の国内総生産(GDP)速報値で前期比成長率は0.3%。市場の予想の半分にも達しなかった。円高→輸出増→所得増→景気押上げとなるべきところ、第1段階の輸出増のところで暗礁に乗り上げている。自動車の輸出は伸びたが、電機、電子部品等が既に競争力を失い、この部分の輸出が伸びないこと、すでに長期円高で生産拠点が海外に移った後で既に手遅れになっていることが原因だ。
1月の貿易収支は1兆4798億円の赤字で、所得収支も合わせた経常収支も3484億円の赤字。今年1─3月の経常収支は、赤字が連続するとみるエコノミストが多く、13年度の経常収支が赤字に転落する可能性も高い。この結果、長期金利が上昇すれば、黒田日銀の金融緩和の手も縛られる。

ところでルー書簡の話に戻るが、これには、TPPを有利に進めようという下心もあるかもしれない。米国は中間選挙を控え、オバマ政権は是が非でもTPPで成果を上げることを求められている。特に農家の支持を集めるためにも、日本の聖域主張を抑え込む必要があるからだ。