安倍参拝

安倍参拝に米「失望した」

12月26日午前、安倍首相は、靖国神社を参拝。小泉首相以来7年4カ月ぶりの現職首相の参拝となった。中国や韓国から反発の声が上がるのは当然として、アメリカ政府が「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに、アメリカ政府は失望している」としているとのコメントを発表した。
キャロライン・ケネディ駐日米大使は12月10日、長崎市を訪問し、原爆資料館を視察し「深く心を動かされた。可能な限り、被爆者の活動を支援していきたい。核軍縮に向けてさらに努力すべきだと感じた」と所感を述べた。
表面上は「核軍縮」を名目にしているが、実際は「核爆弾を落とした米国の大使がまず長崎を訪れたし、近い機会に、オバマが広島を訪問してやろう。その代り日本も中韓に配慮しろよ」というメッセージだったように思う。今回の安倍参拝でオバマの広島訪問もなくなったのではないか。
私個人は「中韓は勝手に怒らせておけ」という考えであるが、安倍参拝は米国への配慮が欠けていたいたと思う。中国の「安倍首相は軍国主義者」というイメージ戦略に力を貸す行動だし、今までの隠忍自重政策が台無しだろう。

補則

アーミテージが1月8日、訪米中の中曽根弘文議員らに「首相が選挙の公約を果たしたということだ。もう終わったことだ」と述べたことが報道され、米国が安倍参拝に理解を示したとのコメントがネット上にあふれている。しかし、アーミテージは現閣僚ではないし、「うんざり」感から出た一言であるように思う。
参拝後アメリカ政府として初めて行った12月30日の会見で、国務省のハーフ副報道官は「(靖国参拝について)われわれは失望し、この地域の緊張を深刻化させると考えていることを明らかにしてきた」と指摘し、「失望」が米国の真意であることを改めて明らかにした。
同会見で記者からの「より厳しく強いトーンを表現するために"regret"(遺憾)や"concern"(懸念)ではなく、"disappointed"(失望)という表現を使ったのか?」との質問に対し、同副報道官は、ホワイトハウスと協議した上だと明かし、「日本の指導者が近隣国との緊張を高めるような行動をとったことに失望した。我々が選んだ言葉から、メッセージは非常に明快だと思う」と述べた。
1月4日夜の小野寺防衛相がへーゲル国防長官と電話協議した際、同長官から「東アジアでは日本、米国、韓国の同盟関係が重要な役割を果たしている。そういうことにも注意してほしい」とも伝えられている。
東條らを東京裁判A級戦犯にして絞首刑にしたのはまさに米国であり、A級戦犯を合祀する靖国神社への参拝は、米国にとっても面白いことではない。