動産担保の将来性

昨日10月4日の日経朝刊には、動産担保融資(ABL)関連の記事が3件載っていた。
1 トマト銀行が担保評価ベンチャーのトゥルーバグループHDに動産資産評価を外部委託しABL拡大を目指す
  八十八銀行が、機械リース・中古販売業む三菱UFJリースと、動産評価、動産買取を組合わせ業務提携
2 商工中金が、牛の足にセンサーを取り付け牛の発情期を認知、通報するシステムを開発したコムテック社に対し、周辺機器を担保に4000万円を融資
  自動車部品製造業旭産業が、部品・鋼材を担保にすることで1億円の融資枠を得る。
3 トゥルーバグループHD社がすでに100行と資産評価で提携、行員研修サービスも提供

動産担保には、債権回収手段としての担保機能のほかにモニタリング機能がある。上記の中でシステム開発C社の事例では「在庫量や出荷状況などを含めた財務内容は金融機関にガラス張りにしている。」との社長のコメントが載っているが、まさにこれがモニタリング機能である。金融機関としては商品の出入りをモニタリングすることで、当該企業の業績、財務状況を正確に把握できるため、債権回収の確実性が増すことになる。
この案件では製品の担保価値はそれほど重視されていないのではないか。このシステムの場合、会社が倒産しまえば、その後のヴァージョンアップもなく、製品保証等のアフターフォローもなく、機器交換等も他社では対応できないだろう、他社ではこのシステムを理解する人もいないだろう。とすると、この会社が破綻した場合、事業ごと買い取ってくれる会社を探すことになるが、周辺機器以外の部分に優先弁債権がないから、ここからの回収も不確実極まりないと思われるからだ。
ABLの場合
1)客観的な資産評価が可能(売却可能性も含めた評価)
2)当該集合担保の入れ替わりをモニタリングでき、かつこれをモニタリングすることで当該企業の財務状況を把握することが可能
3)当該企業が、業績、財務状況とも良い優良企業であること
という3点が重要だろう。
ABLが今後中小企業融資の有力なツールとなるためには
1)資産評価を定型化できる分野を特定し、評価費用を低額化する。
2)モニタリングが確実にでき、業績・財務も良好であれば、資産評価は簿価の何割でいいなど、金融庁のお墨付きが貰えるようにする。