マンションデべ業者 仕込みは控え気味

7月の首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比31.6%増で3か月連続のプラス。契約率も81.6%。特に最近6カ月は8割前後で推移している。
マンションの販売価格は前年同月比9.9%増の5128万円、㎡単価も13.2%増の72.7万円となった。
不動産経済研究所8月12日付発表 http://www.fudousankeizai.co.jp/Icm_Web/dtPDF/kisha/syuto.pdf

8月13日の日経でも、「マンション発売首都圏7月3割増」のタイトルで、この調査結果を伝えている。
販売戸数が増え、単価が上がり、契約率も上がった。そして、これらの数字を押し上げているのがタワーマンション(20階以上)だ。タワーマンションの販売戸数は前年度同月比の526.9%の1561戸で、新築マンションの29.4%を占める。契約率も9割を超える。
契約率の好不調の分かれ目が70%だから、タワーの勢いのすごさが良く分かる。
タワーに限らず消費者の購入意欲は底堅い長谷工が13年4月に行ったWebアンケート調査(買い時感DI)では、買い時と考える積極派が35%、消極派が19%、分からないが56%。積極派は11年4月は13%、12年4月は23%、そして今年は35%と、急上昇している。消費税前の駆け込み需要、アベノミクス心理効果、インフレ期待等が数字を押し上げているのではないか。
しかし、日経記事の副題は「各社在庫絞り込み続く」。デべ各社は決して浮かれていない。リーマンショック前に大量に仕込んだ在庫が、リーマン後これまた大量に売れ残り、大変な思いをしたからだ。こうした在庫マンションを売り出し価格の4〜5割引きで買い取り、2〜3割引きで売却するアウトレットマンションなるものを扱う業者が雨後のタケノコのように出てきたのもこの頃。
プロが一番嫌がるのは不透明感。欧州危機も沈静し、米国経済も好調だが、中国のシャドーバンキングの行方、新興国経済の低調、米QE3の終了、消費税の行方、長期金利の動向等、不確定要素が多すぎる。これから不動産を購入しようという人も実需に基づくものならばいいが、投機目的で買うのは少し慎重になったほうがいいかもしれない。