デトロイト市破産が教えるもの

ミシガン州デトロイト市は18日、連邦破産法9条の適用を申請した。米地方自治体の財政破綻としては過去最大規模となる。デトロイト市の長期債務は185億ドルと推計されている。
同市は、債権者に対して債務1ドルあたり0.01ドルを提供する再編案を提示した。退職職員の年金基金を中心とする債権者がこれに応じず、ついに破たんとなった。
同市は一時はGMの本社があり、自動車工業の中心地だった。GMはオバマ政権の支援で経営を立て直したが、海外への生産拠点の移転を加速し、市の経済活性化には結びつかなかった。市内は人口流出でゴーストタウン化し、歳入は減る一方。一方職員向けの年金は、市が自動車産業最盛期の職員規模がもとになっているため、支出は増加する一方。破綻は時間の問題だった。
デトロイトが破綻したのは想定内だが、想定外だったのはミシガン州が同市の支援に消極的で、いわば見殺しにしたこと。
この州の姿勢が他の州にも影響し、破綻予備軍とされる自治体の破綻を加速するか、不安がもたれる。
日本の場合は米国と違い、自治体は破産の対象となっていないが、「財政再建団体」として、総務省の管理下に入る。現在、財政再建団体夕張市のみだが、同市はリストラが徹底的に行われた。職員の給与は約4割削減され、300人いた職員も120人ほどに激減した。地元企業の最大の取引先の市の破綻を受け、多くの企業が市外に流出。市商工会議所の会員数も300社から200社に減った。人口流出も止まらず、06年に約1万3000人だった人口が現在は1万42人にまで減っている。税金も市民税がアップした以外にも、軽自動車税は1.5倍、下水道使用料は1.66倍、ゴミ処理手数料、入湯税が新設された。他方、公園はすべて維持管理ができなくなり、草はボーボー、遊具もさびたまま野ざらし、計9校あった小中学校は2校に減った。除雪車を出動させる降雪基準も10cm以上から15cm以上に引き上げられた。
病院の閉鎖や縮小も進み、透析治療が市内で受けられなくなり、腎臓病の患者は約40km離れた隣町の病院まで通っている。
批判は覚悟で言うが、限界集落の維持は、人口増加地域だけにし、その他はすぐにも止めるべきだ。農水省は農業生産の維持を錦の御旗に補助金事業を進めているが、今の年齢構成を考えれば、20年後、30年後には農業就労者は殆どいなくなる。綺麗ごとを言うのは止めて、コンパクトシティ政策を推進すべきだ。