消費税還元セール禁止の意味

政府は22日、2014年4月の消費税増税に合わせ、商品やサービスの増税分の価格転嫁を円滑にする特別措置法案を閣議決定した。大手スーパーなどによる「消費税還元セール」を禁止する。仕入側が納入業者(資本金3億円以下)に値下げを迫り増税分の上乗せを拒んだ場合、公正取引委員会が是正を勧告し、悪質な場合は企業名を公表する。
(2013年3月22日日経夕刊)
昨今の円安も、大手企業には恵みの雨だが、中小企業には逆風になっている。というのも、材料を輸入して製品を製造する業者は製造原価が上がっているのに、納品先の大企業がその分価格を上げてくれないからだ。消費税増額でもこれと同じことが起こりかねない。下請業者を守る法律として下請代金支払遅延等防止法がある。確かに、同法は買いたたきを禁止しているが、通常支払われる対価に比べ「著しく低い」下請代金の額を不当に定めることを禁止しているに過ぎない。また、同法は親事業者が下請事業者に物品の製造等を委託したときに適用される法律のため、スーパーのPBの仕入れには適用はあっても、納入業者名のブランド名で販売する商品については適用がない。下請け法では、消費税増税の価格転嫁に対処できないのである。