米中ナンバー2会談

 8月18日、習近平中国国家副主席とバイデン米副大統領とが北京で会談を行った。日経は見出しに「ナンバー2」会談と銘打ち、「米中の首脳級が接触」と持ち上げているが、果たしてそうか。
 習近平は、毛沢東訒小平江沢民胡錦涛の次の第5世代のトップで、12年には国家主席への就任が確実視されている。胡錦涛の賞味期限があと1年だから、習近平の方が存在感で上回っている。これに対し米副大統領と言えば、名前からするとナンバー2だが、実態は異なる。米副大統領職は、初代ジョン・アダムズが「人類の作った最も不要な職」と嘆いたほどの閑職。ブッシュ政権では、チェイニー副大統領が、ブッシュとの個人的信頼関係から、政権内部の仕切役を務めていたが、これは例外に近い。
 ナンバー2会談というよりは、習近平がどんな人物なのかを観察し、将来の国家主席と親交を深めておこうということなのだろう。
 中国は、米国債の格下げを「鬼の首を取ったかのように」取り上げ、米国債最大保有者=債権者として、国防費を削って財政赤字を削減しろとか、QE3は認めないなどと言いたい放題。米国も人民元は不当に低く抑えられていると非難するが、最近人民元も上昇傾向にあり、米国の方が分が悪い。
 しかし、そもそも米中に本当に争点があるのか、疑問だ。人民元が上昇しつつあることは事実だが、中国政府の介入によって対ドルで割安に抑えられているのは事実だ。中国としては、今後も人民元売り、ドル買い介入を続けるとすれば、米国債を買い続ける必要がある。中国という最大の買い手を失えば、ドルは急落、それは中国にとっても好ましくない。
 米にしても、人民元の為替操作があるからこそ、米国債が買われ、ドルが暴落を免れており、人民元の為替操作は米国にとっても利益となっている。