ユーロ成長率鈍化

EU全体で実質成長率年換算0.8%

 EUが8月16日付で発表した4−6月期の域内GDP成長率(実質)は以下のとおり。カッコ内に1−3月期の数値を示した。
全体   0.2%(0.8%)▲0.6%
ドイツ  0.1%(1.3%)▲1.2%
フランス 0.0%(0.9%)▲0.8%
オランダ 0.1%(0.8%)▲0.7%
イタリア 0.3%(0.1%)△0.2%
スペイン 0.2%(0.3%)▲0.1%

数値の意味するもの

 ドイツはこれまでユーロ安に支えられ、輸出が好調で、わが世の春を楽しんできた。南欧諸国に対して「お前らが怠けてきたことによる借金を、自分らがこつこつ貯めてきた金で救ってやるなどとんでもない」などとブーたれていたが、南欧のおかげでユーロが下がり、ドイツは大もうけをしてきた。そのドイツも4−6月期は純輸出がマイナスに転じ、個人消費も伸び悩んだと言う。
 南欧諸国はもともと悪かった数字が、相変わらず悪いままだが、これとて、いい話ではない。南欧諸国は財政赤字の削減は進むとして、その理由に歳出の抑制と成長率の好転を上げていた。しかし成長率が好転しないとなると、歳出の削減をより進める必要があり、それは経済の成長を更に鈍化させることになる。

鈍化の理由

 日経は、EUの最大の輸出先米中の経済が減速し、米中向け輸出が3月をピークに減少していることを上げている。米中とも短期的に景気が上向くことは考えられらない。米は強気の予想をしていたFRBも直近のFOMCで成長率の鈍化を認めざるを得なかったし、中国も物価上昇率が6%を超え、景気引き締めを継続せざるを得ないからだ。