北朝鮮 対韓国対話派30人を粛清

対南対話派30人を粛清

15日の東亜日報によると、北朝鮮は最近、韓国との対話パートナー10人を銃殺し、約20人は交通事故処理などに偽装しながら約30人の対南対話派をすべて粛清した。
東亜日報は政府消息筋の話を引用し、「現在としては北朝鮮に韓国と対話する人物がいない。南北関係に大きな変化がありそうだ」と伝えた。
現在、北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)を中心にした軍部強硬派が対話派を押しのけ、挑発を敢行したり粛清を通して権力闘争をしていると、同紙は分析した。
「北、対南対話派30人粛清」…南北関係に暗雲
中央日報日本語版 2011年07月15日10時25分

北の強硬姿勢

 この粛清報道の前にも北朝鮮の強硬姿勢を示す報道があった。
 北朝鮮は中朝首脳会談や米の食糧支援調査団との協議を経た後の5月30日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権を「これ以上、相手にしない」とする声明を発した。
 北朝鮮の国防委員会報道官は6月1日、南北朝鮮が5月に北京で秘密接触し、その席で韓国側から3次に分けた首脳会談の提案を受けたことを明らかにした。国防委報道官によれば、韓国側は4月、李大統領の直接の指示として接触を提案。北京で5月9日からあった接触には、韓国は大統領府の金泰孝対外戦略秘書官ら政府高官を派遣。韓国は武力挑発への謝罪が必要だと主張しながら、北朝鮮にとって謝罪と受け取らずにすむが、韓国は謝罪と判断できる文言を盛り込んだ折衷案を提案した。そのうえで、5月下旬に南北首脳会談を準備する閣僚級会談の開催を提案。6月下旬に板門店で第1次首脳会談を、その2カ月後に平壌で第2次会談を、来年3月に韓国で開かれる第2回核保安サミット期間中に第3次会談を、それぞれ開くよう求めたという。 しかし北朝鮮が、韓国が謝罪や非核化の先行実施を求める限り、首脳会談には応じられないとの考えを表明し、決裂した。
 こういった外交の内側を一方当事者が相手の了解もなく暴露するのはルール違反だ。こういったことがあると相手国もうかつに交渉できなくなる。韓国内では、武力挑発への謝罪がない限り南北関係の改善には応じないとする世論が強く、こうした鵺的な外交は批判の対象となる。この暴露で、李政権も強硬路線を取らざるを得なくなった。
 asahi.com2011年6月1日21時20分

中国の面子もつぶす

 金正日は、胡錦濤の招待に応じ、5月20日から26日まで中国を非公式に訪問し、黒竜江吉林、江蘇各省を訪れた後、胡錦濤と北京で会談した。 その際、胡錦濤は「南北対話→米中対話→6カ国協議」という3段階の道筋を示したと言う(前述asahi.cim)。先述の「李政権を相手にせず」との表明は、中国の面子を潰すに十分だ。

あくまで米朝2カ国交渉を目指す

 この北朝鮮の動きは二つの要因があるとされる。一つは金正恩への権力承継をスムーズに進めるため、軍の歓心を買うことだろう。先ずは北が軍事挑発を謝罪しろ、という要求は、常識的な判断ではあるが、軍としては絶対に認めることが出来ない話である。南の外交を暴露し、謝罪はしないということを公言することは、外交的マイナスになるが、軍の面目を立てることになる。正恩への軍の忠誠を勝ち取ることのほうが、金王朝にとっては重要な事柄なのだろう。
 第2は対米直接交渉への固執である。2006年北は中国の制止を押し切って核実験を強行し、対米直接交渉を実現した。07年2月の6カ国協議では核兵器という言葉を抜いた形で合意文書を作ることができ、北の外交勝利をもたらした。あの夢をもう一度ということがあるのだろう。
 ただ06年、07年は、米側に、ヒル6カ国協議首席代表とライス国務長官が対北宥和派がいたから北の外交的勝利もあったが、現状ではそうは行かないだろう。

7月22日、バリで南北六カ国協議主席代表協議(追加)

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の韓国首席代表、魏聖洛外交通商省平和交渉本部長と北朝鮮の首席代表、李容浩外務次官が22日、インドネシア・バリ島のホテルで会談し、6カ国協議の早期再開を目指すことで一致した。南北首席代表による意見交換は2008年12月の同協議首席代表会合以来、約2年7カ月ぶり。
 韓国内の強硬派が北朝鮮の謝罪を協議開始の条件としていたが、米日に押され謝罪問題を棚上げにして、会談した。

日米韓外相 共同声明(追加)

 7月23日、バリ島で日米韓外相が会談。会談後、北朝鮮に対し、「6カ国協議再開には北朝鮮による誠意ある努力やウラン濃縮計画への対処が必要」「北朝鮮に非核化への真のコミットメントを示すための具体的行動を促す」「北朝鮮に、日本人拉致と南北離散家族再開の問題を解決する行動を要求」との共同声明を発表した。
 日米韓が北朝鮮に要求する具体的行動とは以下の3点。

  1. ウラン濃縮作業の中止
  2. IAEAの査察受け入れ
  3. 弾道ミサイルの開発中止(11.7.24日経)