円高止まらず

 12日の海外市場では、一時、対ドルで79円台前半、対ユーロで109円半ばをつけ、約4カ月ぶりの円高水準に上昇した。米ドルについては米国債務上限引き上げ問題、ユーロについてはギリシャ問題があり、消去法で円が買われた結果だ。
 米国では、連邦債務上限引上げ問題が政争の具になってしまっている。最終的には22日のデッドラインまでには決着が着くと思うが、それでも米国経済を人質にとっての政治ゲームに対しては失望売りが起こっても不思議はない。欧州はと言えば、ギリシャ国債がデフォルトになるのは分かっていながら、小田原評定を続け、議論がその終着点になかなか辿りつかない。これも失望売りと言って良いだろう。
 日本国内要因が全くない訳ではない。日銀の無策だ。4月の金融政策決定会合では、西村副総裁が、国債社債の買取規模を現在の10兆円から、15兆円に拡大する独自案を提出し、結局否決されたものの、それなりの発信力を発揮した。しかし、その後は、金融緩和の「カ」の字もない。市場を意識しての何らかの情報発信があってもいいはずだ。だんだん白川総裁が貧乏神に見えてきたのは、僕だけだろうか?