中国レアアース世界占有率今後2年間で大幅に低下

中国レアアース占有率低下

 中国工業情報省の元高官、Wang Caifeng氏がチャイナ・デーリー紙に語ったところによると、世界のレアアース生産に占める中国の割合は他国の生産増強により今後2年で大幅に低下現在の95%から60%に低下する見通しだという。同氏は現在、価格設定と業界統合の規制を手掛けるレアアース業界団体の設立を担当している。
 中国政府は、高水準の生産は持続できず環境に悪影響を与えるとして、2011年上半期のレアアース輸出枠を前年同期比で35%削減すると発表している。これにより世界の供給は減少、価格は過去最高水準に上昇した。
(ロイター2011年 06月 22日 14:48 JST

レアアース削減が生むもの

 レアアースは他国でも採掘は可能だが、中国産のレアアースが安価なため、採掘されなかったり、採掘が中止されたりしてきた。しかし中国が輸出量を削減、価格が高騰することで、これまで採算割れで採掘されなかった地域でも採掘が可能になってくる。
 中国がレアアース輸出を削減している理由は二つある。一つは人民軍系の企業に生産を集中させ、人民軍に恩を売ることだ。中国のレアアースの生産地は南部と北部に分かれているが、南部は民間中小企業による採掘が中心で、北部(特に新疆ウィグル地区)は人民軍系の大企業による採掘が中心だ。中国政府は南部の生産を「零細企業による違法採掘が環境悪化を生じている」として抑制している。国進民退(国有企業が儲って、民間企業は損をする)現象の一環と言える。もう一つは、レアアースを武器に、「中国に来ればレアアースをどんどん使えるぞ」と、日本の先端産業を誘致し、最終的には技術を盗みとろうという政策だ。
 ただ、日本企業も馬鹿ではないから、中国以外での権益獲得や、代替技術の開発に動いている。