11年前の原発作業用ロボット開発計画 日本の原子炉は安全の一声でストップ

原発ロボット開発 政府PT立ち上がる

 政府と東電の事故対策統合本部にリモートコントロール化プロジェクトチーム(リモコンPT)が設置された。リモコンPTは細野豪志首相補佐官が統括。民主党議員や東電、大手ゼネコン関係者に米政府も協力して無人化作戦の具体化を急いでいるが、検討作業は遅れ気味だ。これまでに、がれき撤去や注水のため、無線操作可能なブルドーザー等の重機を投入しているが、今後はさらに複雑な作業ができるロボットの投入が必要になる。

ロボット開発への障害

 放射線はLSIを誤作動させるため、耐放射線機能を持つ特殊なLSIを装備する必要がある。しかし、日本のメーカーでそのようなLSIを作っているメーカはない。今回フランスから放射線下で作業可能なロボットの提供を受けるが、仏国内には耐放射線LSIの専用工場があるという。因みに、米国から、放射線に対応した軍事用ロボット「タロン」の提供を受けたが、無線の周波数帯が日本の通信方式と合わず、対策の検討が始まったばかりだ。

日本でもかつてあった原発作業ロボット開発

 経産省原子力安全・保安院は、毎日新聞の取材に対して「(原発災害用のロボットを)国内で開発する話は聞いたことがない。想定していなかった。」と回答しているが(http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110409ddm003040106000c.html)、これは真っ赤な嘘だ。4月11日付日経によれば、1999年東海村臨界事故の際、米国からロボットの提供の申し出があり、恥ずかしい思いをした経済産業省が2000年補正予算30億円で、民間企業、大学にロボットの施策を依頼した。結果6代の試作品が完成したが、経産省では「原子力災害ロボットが必要になる事態は日本では起きない」との意見が支配的で、結局、開発はストップしたという。