貿易保険 海外から海外も対象に

貿易保険の対象拡大

 貿易保険は、企業が海外向けに製品輸出したり、海外プロジェクトへの投資等にかける保険。ことに、取引相手が新興国だと、カントリーリスクがあるため、リスクヘッジとして利用されている。民間も行っているが、主力は独立行政法人日本貿易保険である。同法人の契約残高は11兆円にも及ぶ。
 ところで日本貿易保険は国策遂行のための存在だから、日本から海外への貿易は保険対象になっても、日本企業の海外拠点から他国への貿易は対象外だった。今回、後者にも保険適用することに、同法人と政府間の協議で決定されたという(1月8日付日経)。

空洞化への不安

 こう聞くと、国内産業の空洞化を促進するだけではないかという不安が当然生じる。ただでさえ、最近の円高で、企業は生産拠点をどんどん海外に移している。
 日本の製造業の場合、一から海外で製造するのではなく、部品、モジュールを国内で生産し、それを海外拠点で製品に組み立てることが多い。そのため政府は、海外生産拠点で生産拡大すれば、海外拠点への輸出も増えるから、結果的に国内の雇用に寄与すると、今回の方針決定の理由を説明する。