中国 金融引き締めに舵を切る

金融政策を「適度に緩和的」から「穏健」に

 新華社が3日伝えたところによると、中国共産党中央政治局常務委員会は、適度に緩和的な金融政策を「穏健(prudent)」スタンスに変更することを決定した。。
 今回の決定を受けて、近く利上げも有るのではとの見方も出ている。中国政府は10月に2年10カ月ぶりに利上げをしたほか、中国人民銀行中央銀行)が預金準備率を引き上げて市場に出回る資金を吸い上げるなど、物価抑制の動きを示してきたが、いよいよ金融緩和から引き締めに舵を切り始めたということだろう。

物価上昇

 現在欧米の金融緩和もあって、世界にマネーがあふれている。しかし欧米ではそのマネーを消化しきれず、余剰のマネーが新興国に向けあふれ出ている。またそうしたマネーは商品市場に流れ込んでおり、原油価格等、商品価格が高騰している。このため、中国では消費者物価指数は10月に前年同月比4.4%上昇となり、11月も前年同月より4%以上伸びることは確実といった情勢だ。このため市民が不満を強くしており、政情安定のためには、物価抑制に向かわざるを得ない。

不動産バブルをIMFも危惧

 香港と中国本土の一部都市では、マンションの価格が過去2年間で、およそ50%上昇した。香港では、空前の不動産ブームが起こっている。中国本土は共産主義のため、土地は所有できず、国から借りている形になっている。しかし香港は資本主義だから、土地所有が認められる。日本の不動産もその流れで、中国資本が流れこみそうだが、それほどでもない。円高のため、中国人からすれば割高に思われるからだ。
 IMFは12月3日のレポートで「上海や深センなど大都市の一般向け不動産、北京と南京の高級不動産は、ファンダメンタルズからかけ離れている」と指摘。「これに対応するには、実質金利の上昇や(不動産税など)住宅保有コストの上昇、住宅に替わる投資手段の開発が必要だ」としている。香港は「資産価格上昇緩和に財政措置が必要」とした。

人民元はそのままか

 こうした動きが、人民元相場の弾力化に向かっていけばいいのだが、そこは太子党などの既得権層が反発するため、そうも行かない。ことに賃金の上昇を進めるためには、それと引き換えに、人民元安を維持することで既得権層の歓心を買う必要があるのだろうからだ。

積極財政はそのまま

 しかし、積極財政はそのままだという。しかし中国の不動産価格の上昇は、積極財政の影響が強い。しかし積極財政が共産党幹部の懐を潤しており、胡錦涛もこれだけは手をつけられないのだろう。