銀行の中核的自己資本Tier1はどうなるか

 主要国の銀行監察当局(日本では金融庁がこれに相当)で構成するバーゼル銀行監督委員会は7日、バーゼルⅢに関する提案で合意した。合意内容は公表されていないが、提案は12日に委員会の上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループで最終決定される予定だ。
 この中で注目されているのが、普通株内部留保で構成される中核的自己資本比率を何%にするかと、その達成期限をいつとするかだ。
9月8日付日経記事は、最低基準を5%(現在のバーゼルⅡでは2%)、状況悪化時に備えた上乗せ基準を2%(バーゼルⅡでは規定なし)ことになったと報道している。一時は欧米ともに行け行けで、これに抵抗する日本は少数派だった。ところが、昨今の欧州危機のお陰で、欧州の銀行が大幅に自己資本比率を悪化させ、消極派に転じた。今強硬派は、自己資本比率の高い銀行を抱える英米である。これに対し日欧は「過度の規制は貸し渋りを招く」と反対している。
また、新しい自己資本比率を銀行が適用するまでの猶予期間をめぐっても、意見が対立している。猶予期間について5年間を主張する米国と10年間を求めるドイツとで激しく対立しているが、同日経記事によると、8年後の18年となりそうだという。
 日本のメガバンクの13年3月期の中核的自己資本比率がどうなるかと言うと、シティグループ証券の野崎浩成氏の試算では、三菱UFJが8.6%、三井住友が7.9%、みずほが6.1%になるという。
 ただ、中核的自己資本比率の分子たる普通株内部留保は客観的把握が可能であろうが、分子のリスク資産中、不良資産の判定基準が国によってバラバラなことだ。判定基準がきっちりしている国としない国で不公平が生じてしまうからだ。